Callingのレビュー・感想・評価
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【”ノックしてもノックしても・・、それでもノックする。”精神に異常を来した妻を、懸命に愛する男を描く。中川龍太郎監督の弱冠22歳のデビュー作。】
■清掃員の収入で辛うじて生計を立てている男は、心を病んだ妻と暮らしている。
そんな男を先輩は手助けし、義妹は気にかけてくれていた。
画家になるという夢や妻と距離を置くことで新たな生活が生まれるのではないかという予感が脳裏によぎるが…。
それでも、男は笑顔を忘れた無表情な妻を笑わせようとし、懸命に尽くす・・。
◆感想
・台詞は殆どない。男と妻の姿にフォーカスして、男が妻に尽くし、愛する姿を描いた作品。
<中川龍太郎監督作品は、「わたしは光をにぎっている」「静かな雨」「やがて海へと届く」を鑑賞したが、どれも好きな作品である。本作からは、その萌芽が感じ取れる。>
考えさせられる
本作品はほとんどの音声が蝉の鳴き声かBGMで、すこしだけ人のセリフが入ります。
なぜ奥さんは心を病んでしまったのか、なぜ結婚しているのか、そんなことが気になりますが、
「そんなことは気にすんな、今見て感じたことを素直に嚙み締めろ」と言わんばかりの無音が逆に惹きつけられます。
無言で見ててきついと思うシーンは個人的にはなかったです。主人公の突拍子もない行動を寒いと感じる人はいるかもしれませんが、個人的にはそれも愛の表現なんだろうなと感じました。
基本的に描画されていない前日譚的な情報が気になるタイプなのですが、今見ている場面自体が考えさせられるため、今の表情はうれしいのかなやその行動は何を意味しているんだと今起きたことを自分の思うように考えるだけで楽しめます。本作品は見る人によって感想や感じ方が異なると思います。
説明してくれないと分からない、人の表情や行動から察するのが苦手という人には正直合わないと思います。普段から他人をよく見ていてそれゆえに他人とのコミュニケーションが苦手、苦痛に感じている人が思うままに感じて楽しめる作品だと思います。
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