劇場公開日 2022年2月4日

「トラウマ克服ビームのじいさん」劇場版 TIGER & BUNNY The Rising とびこがれさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5トラウマ克服ビームのじいさん

2022年4月20日
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鑑賞方法:VOD

 私はそもそも一期の25話観たんですが、ヒーローにスポンサーがついて職業として金の動きまで描いて成立させる基本の設定こそ惹かれましたが、のめり込みはしませんでした。
 世界も話も、異能力の特性的にもどんな展開でも作れる懐の広さというか自由さが与えられて逆に迷ったんでしょうか。紆余曲折を経てタイガーとバーナビーを並べて映すのがこの作品の柱であり、それは達成されていました。それ以外の復讐に燃える時計屋の息子やファイアーエムブレムの過去、虎徹さん自身の人生設計、自己斉一性拡散の危機にあるバイソンさんなどなど鬼気迫るエピソードは特になし。一応、NEXTは人間ではないという過激発言が登場し、それを突き詰めると差別に取り組むX-MENのレガシーに挑むことになります。そこまでの重さは目指してないでしょう。しかし映画なのでずっとのほほんとしているわけにもいかず、という。
 というかこれだけいいキャラクターがたくさんいるんだから、ライアンだのシュナイダーだの出さなくても楓ちゃんなりヒーローの誰かなりルナティックなりをフォーカスしてほしい。観やすくて、ヒーロースーツや特殊能力が登場して、可愛い女の子が躍動するだけで観る理由としては十分なのです。それに賛否がわかれるようなギャグや哲学を廃している安心感もタイバニのいいところ。テレビ版と大きく変わらなかったな、という感想で全く不満はないですけどね。
 あと眠り病ビームのじいさん。過去のトラウマと直面させて、それを乗り越えられるまで起きられなくする能力。あれは直ちに心療内科を開くべきです。確かにショック療法であり、失敗や更なる心の傷を負うリスクに慎重になるべきですが、無意識のうちに抑圧されたまま生きている人たちに前を向かせる可能性を秘めています。私だったら医師に相談した上で一度受けてみたいですね。
 私の好きなシリーズの内の1つである「ダークナイト  ライジング」に続き、「タイガー&バニー ライジング」ですか。前者は物理的に壁よじ登ってましたからね。こちらは比喩でしょう、2部から1部にライジング、地位もギャラもライジングということでしょうね。
 2期も観てきます!

とびこがれ