劇場公開日 2013年6月29日

「渦巻く人々の悲しみを、美しい夏の海が受け止める」真夏の方程式 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0渦巻く人々の悲しみを、美しい夏の海が受け止める

2013年6月30日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

知的

原作は未読、TVドラマは数回見た程度。「容疑者Xの献身」が思いの外良かったので、今回劇場で見ようと思った。

海底資源採掘の説明会に出席する為、美しい海の町を訪れた湯川。宿泊先の旅館の男性客が変死する事件と遭遇。
美しい海を守ろうとする旅館の娘を軸に、今回の事件と15年前の事件が繋がった時、家族が抱える悲しい秘密が浮かび上がる…。

犯人探しやトリックの謎解きより、事件の裏にある悲しい人間ドラマに重点が置かれている。僕はこの手の作品が大好物。
その最高峰とも言えるのが、「砂の器」。
本作を、「砂の器」を彷彿させる、という評を何処かで見た。
秘めたる悲しい真実、それを知るが為に起きた事件、そして深い親子愛…。
真実を紐解き、誰の得になるのだろうか。真実は時に残酷。

本作の見所の一つとして、子供嫌いの湯川と少年の交流がある。
正直、この少年がどんな役割を果たすのだろうと思っていたが、図らずも事件に関わる事になる。
それは同時に、子供がまた一人、重い十字架を背負おうとしていた。
あの少年が今後どうなるか分からない。
だが湯川との交流で、十字架をどう受け止め、どう生きるか、選択出来る考えを持てたのも事実。

湯川が与えた宿題は重く辛いものでもあるが、事件と事件に関わった人たちへの配慮に不器用な優しさも感じた。

すっかり板についた福山ガリレオもさることながら、杏、前田吟、風吹ジュン、白竜ら今回も映画のゲスト出演者が好演。山崎光少年も達者。

余談だが…映画第3弾があるとしたら、福山ガリレオの最大の敵として佐野史郎の出演を熱望!

近大