「凡庸な悪はだれでもが持っているもの?」ハンナ・アーレント まおさんの映画レビュー(感想・評価)
凡庸な悪はだれでもが持っているもの?
ナチスのアイヒマンの裁判を通して、悪人とは何なのかを問う。
アイヒマン自身が、自分の仕事を遂行しただけ。考えることを辞めて上官の指示に従っただけだと語る。
それは、凶悪な心を持った犯罪なのか?または、ただの凡庸な一市民が戦争という名のもとに思考停止になっただけなのか?
確かにアイヒマンのような人は、たくさんいた。
この映画では、ユダヤ人迫害を行なったナチスドイツについての罪を問いているが、
原爆を開発し、投下したアメリカの研究者たちも、そこに住む何十万人もの戦士ではない一般の人たちを一瞬にして殺してしまったことを凶悪な心を持って行なっていたとは思えない。
人は、自分の生活を中心に全てを考える。
自分の立場を守るため、自分のことだけを優先して考える。
そこで自分が人を傷つけているとか、殺人に手を貸しているとか、考えて行動出来るのは、自分の身が安全な時だけだと思う。
だからこそ、誰もが自分の中にある悪人の部分を意識して、人間になれているのかを常に考えていくことが必要。
思考停止して、自分の良心からも逃げてしまうことだけはしたくない。
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