フラッシュバックメモリーズ 3Dのレビュー・感想・評価
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切実な「生」のレイヤー
民族楽器「ディジュリドゥ」の使い手、GOMA。
2009年、交通事故に遭い高次脳機能障害により活動休止。
そして、FUJIROCK FESTIVAL’11で奇跡の復活。
想像するに、その見えない日々の移ろいには「壮絶」としか
言いようのない現実があったんだろう。
そんな私の思いを補填してくれたのが、この映画でした。
この映画が画期的なのは「3D」自体が極めて重要な「演出」なのです。
渋谷WWWでのライブの模様、その背景に過去のプライベートビデオ、
GOMAと妻すみえさんの日記、彼の書き貯めていた絵などが次々と広がります。
特筆すべきは、さらにこの映像をご覧になったGOMAの手記が被さっていきます。
現在、過去、そして未来。
その「生」のレイヤーの重なりに、自然と涙が流れてきたのを覚えています。
躍動するライブ、トライバルな音のうねりを受けながら、
切実な、どうしようもないほどの切実な「生」の実感をそこに見ました。
終演後、後ろにいた男性客がぽつりと、
「これはGOMAさんのために作られた映画だな」と言ったのが印象に残っています。
エネルギッシュな映画
交通事故で記憶力が減退してしまったミュージシャンのドキュメンタリーというので、さぞしんみりした映画だと思っていたら、その演奏させる音楽が非常にエキサイティングでエネルギッシュでドラッギーだったので驚いた。
おそらくスタジオライブに記録として残っていた映像や日記などを背景に合成する形で状況が構成されていた。非常に深刻な内容なのにエキサイティングで生命力溢れる音楽で見ていて暗い気持ちにならなかった。またGOMAさんの描くドット絵みたいなのが配色がとてもきれいでそれもまたエネルギッシュでドラッギーだった。
終盤、GOMAさんが用いるトロンボーンのように伸び縮みするディジリドゥがすごい迫力で顔に突き刺さりそうだった。
私事ですが、もう25年くらい日記をつけているんだけど、その日記は読み返すことが全くなく、日記をつけることで安心して覚えていなくてもいいような気分になってしまうのか、余計に物忘れがひどくなっている。またその物忘れを自分に都合よく使っている場合もある。そんな事とは比較にならないくらい深刻なGOMAさんの事故なのだが、記憶とは一体なんだろうと考えさせられた。
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