KILLERS キラーズのレビュー・感想・評価
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ながいです
とても冗慢な作品。残念ながら褒めるポイントが見つからない。
うまくプロデュース機能が働いていなかったのか、制作途中に何度かあったはずの軌道修正のタイミングをスルーしてそのまま公開されてしまった印象だ。
全体的に画作りが下手で映画というよりTVの2時間ドラマのような構図や美術が多い。またストーリーも整理されておらず親子の物語とジャカルタの物語が全く交差せず、敢えて交差させない意図も見えない。
映画自体シリアスとコミカルの配分が曖昧なので北村一輝もどうアプローチしていいかわからなかったように見える。
何より長い。無意味なフッテージが多すぎ体感時間は3時間を超える。
親子の話をカットして北村一輝の演技を過剰な方向に持って行った上でブラックコメディに寄せ90分以内に収めて他の監督が撮れば面白い作品になったかも。
北村一輝の濃過ぎる顔が良い味出してました。
日本とインドネシアの初の合作映画。
国も文化も言語も異なる日本とインドネシアを、ネットを介して映像と共通言語(英語)で交流させる形は両国の合作映画として非常に巧いやり方だったと思います。
…というか、これが自然な落ち着き方だと思うのですが。
最近、これと真逆のことをやっている糞映画があったのでより巧く見えました。
日本側を担当する北村一輝演じる野村は突き抜けた異常者。
殺人のために殺人をする快楽殺人鬼。
映画「悪の経典」のハスミンや映画「冷たい熱帯魚」の村田、そして映画「凶悪」の須藤といった金銭的な利益や地位/名誉を追求する殺人鬼とは一線を画します。
…ただ話が全く通じない点とキャラが魅力的である点は共通しています。
ハスミンの瞳孔が開き黒目が大半を占めるつぶらな目、小首を傾げる仕草。
村田の欲望に貪欲過ぎる姿勢、そして「ボディを透明に」「幸せになりたぁい」といった名言。
須藤の正に凶悪すぎる追い込み方、そして「ぶっこむ」という名言。
皆が皆、非常に嫌な魅力に溢れています。
で、本作の野村。
演じる北村一輝の濃過ぎる顔が本当に良い味出しています。
凄んだ顔も当然怖いのですが、一番怖いのは笑った時の顔。
凄惨な笑みとは正にこのこと、という非常に良い笑顔を観ることが出来ます。
残念ながら「ボディを透明に」や「ぶっこむ」といったキラーフレーズはありませんでしたが北村一輝のこの顔で十分カバー出来ていました。
また野村のキャラも良かった。
喧嘩が強過ぎない、けど執念深さが半端ない。
一度やられたら必ず、そして徹底的にやり返す。
その執拗さは一見の価値有りです。
インドネシア側を担当するバユは正気と狂気の狭間で揺れる人物。
殺人鬼ライジングとして徐々に変わりゆく彼の姿も野村との対比として面白い。
正直、バユのパートのドタバタ感や雑な話運びに若干の違和感を覚えない訳では無いですが。
初心者のニュアンスは十分出ていたと思います。
あと特筆すべきは画面の奥の演出。
明確なのは日本側で一つ、インドネシア側でも一つ。
ピントが合った前面とは別に、ぼやけた画面奥でドタバタ劇が。
特に日本側、何となく予測はつきましたが実際に画面で観てみると面白かった。
そこだけはテイストがガラッと変わって良かったです。
正直、言うほどは残酷な映像が出てこない本作。
スプラッタ系を期待していくと若干の肩透かし感があるかもしれませんが。
北村一輝の濃過ぎる顔と、野村の執念深さを観に劇場に足を運ぶ価値はあると思います。
「ザ・レイド GOKUDO」の前に是非。
オススメです。
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