「理想を叶える為には・・・」リンカーン シュナイダーさんの映画レビュー(感想・評価)
理想を叶える為には・・・
スピルバーグ監督作品だったので、きっとリンカーンの生涯を描いた派手な大作伝記物なんだろうなと思いつつ鑑賞したのですが、こ、これは・・・何と地味な・・・。
まあスピルバーグもたまにはこう言う映画を作るんだなと、ある意味感心させられた部分はありましたが、とにかくビックリするぐらいエンタメ性はほぼ皆無でしたから、2時間30分・・・見終わって、相当疲れましたね・・・。
しかもほとんどが憲法第13条の修正案を可決させるまでの政治ドラマに焦点を当てた内容になっていましたから、間延び感は半端じゃなく、正直何度も睡魔に襲われそうになってしまいました。
ただしつまらなかったのかと言われればそうではなく、アカデミー賞を賑わしたり、たくさんのレビュアーさんが高評価をしているように、政治ドラマとしては物凄く見応えのある内容になっていたと思いましたよ。
真の平和は綺麗ごとだけでは勝ち取れない、政治的な裏工作をしまくってでも真の平和を勝ち取らなくてはならない・・・奴隷解放に命を懸けたリンカーンのその執念・・・見応えたっぷり、とても味わい深い作品になっていたと思いました。
でも、やっぱり疲れますね、こう言う映画は・・・。
ダニエル・デイ・ルイス(リンカーン)・・・見た目からしてほぼリンカーンそのものでした。
しかも表情、しぐさ、風格、どれを取ってもまるで大統領がそこにいるようで、なるほどアカデミー賞を獲得したのも納得の存在感だったなと思いました。
この方の演技は、いつもながらに物凄い説得力を生みますね。
サリー・フィールド(リンカーンの妻)・・・とにかくイライラさせられましたね(苦笑)
それだけ演技がうまかったと言うことなのでしょうけど。
それにしても、まあ家庭を顧みない大統領にも勿論問題はありましたが、奥さんちょっと精神的に病みすぎでしょうよ・・・って、状況を考えれば精神的におかしくなるのもある意味当然か。
ジョセフ・ゴードン・レビット(リンカーンの息子・ロバート)・・・正義感あふれる長男を好演。
戦うことが美学とされたこの時代、自分だけ血を流さないのはやっぱり我慢ならないものがあったのでしょうね。
結局4人の子供の中で一番長生きしたと言うのですから、何とも皮肉な話ですね・・・。
ガリバー・マクグラス(リンカーンの息子・タッド)・・・無邪気で本当に可愛らしかった!
これなら確かにいくらエイブラハムと言えど、それは溺愛したくもなるでしょうな。
ジェームズ・スペイダー、ブルース・マッギル、ジャレッド・ハリス・・・彼らが出ていたのは一応確認出来ましたが、何の役だったのかはさっぱり・・・。
他多数・・・全く誰が誰なのか見分けが付かずでした(苦笑)
デビッド・ストラザーン(ウィリアム)・・・彼だけは何とかリンカーンの参謀的存在を演じていたこともあってか一応は認識出来ましたが、印象に残るほどでは・・・。
トミー・リー・ジョーンズ(スティーブンス)・・・とにかく気難しくて物凄く頭の固い男でしたが、その感じがとても似合っていましたね、ヅラは似合ってなかったですが(笑)
正直リンカーンそのものよりも、彼に纏わるシーンの方が個人的には思いっきりツボでした。
彼が奴隷解放に拘った理由を知った時は、ちょっと熱いものが込み上げましたよ・・・。
理想的な世界を作る為には、理想的な政治をやっていたのでは勝ち取れない。
講釈なんかどうでもいい、結果が全て・・・それが政治なんですなぁ。
日本の総理大臣さんも、よろしくお願いしますよ・・・。