隠し砦の三悪人

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

黒澤監督初のシネスコープ作品。戦国時代、敗軍の大将真壁六郎太が、世継ぎの雪姫と隠し置いた黄金200貫とともに敵陣を突破し、同盟軍の陣内へ逃亡するまでの脱出劇。難関につぐ難関、次々とと襲い来る絶体絶命の危機を間一髪で切り抜けるアイデアの数々は、黒澤ほか三人の脚本家により練り上げられたもの。また、六郎太一行に付き添う狂言回しのごとき百姓コンビが、後に「スターウォーズ」の『C-3PO』、『R2-D2』の原案になった逸話はあまりにも有名。スリルとサスペンスとユーモアにあふれた、痛快娯楽時代劇の傑作巨編。

1958年製作/109分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1958年12月28日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第9回 ベルリン国際映画祭(1959年)

受賞

銀熊賞(最優秀監督賞) 黒澤明
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(C)1958 東宝

映画レビュー

4.5一大冒険活劇にして、最高のエンターテイメントだ。

2024年9月26日
PCから投稿

戦国時代。敗戦の侍大将が、負けん気の強い姫とお家復活の軍資金を伴い、道中で出会った2人の農民を伴って、敵中突破を目指す姿を描いた、冒険活劇。『スター・ウォーズ』に影響を与えたことでも知られる作品ですね。

大胆不敵で堂々たる侍大将と、勝ち気で負けん気が強い姫が、身分を隠したまま、2人の農民との道中を繰り広げるのだが、真剣なドラマとユーモラスなコメディを、絶妙なバランスで見せてくれる。

2人の農民は、決して賢いとは言えず、喧嘩ばかり繰り返すのだが、単なる狂言回しを遥かに超えた、とてもコミカルな存在で、愛すべきキャラクターだ。

1958年公開のクラシカルな映画の中でも、カラッとした雰囲気で、突き抜けた面白さがある。細やかさと大胆さを融合させ、アクションとコメディとドラマが混ざり合った、純粋に楽しめる一大エンターテイメントだ。

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瀬戸口仁

4.0黒澤作品としては細部の詰めが甘い

2024年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

気になるのは脚本の練り込みの粗さ。

特に太平と又七のコンビが一貫性のない性格で、こんにゃくのように態度が変わる。欲深い性格の故と、劇中では語られるが、狂言回しの役割なので、主人公たちの置かれた危機をうまく説明するために、彼らのセリフを当て込んでいるが、ついて来る必然性が薄い。200貫と言えば相当に重いはず。少人数で運べる量ではなく、どこかに隠して、逃げることを優先するのが定石だろう。

関所の通過を解りやすく説明するのも、観客に分からせるための方便で、真壁六郎太ほどの大将であれば、選択肢の一つとして頭にあったはず。太平と又七に気づかされた体裁だが、愛すべき凸凹コンビと強い侍の結団式を、粋なエピソードで見せているが、普通なら二人は逃げ出すだろう。

偶然の要素が重なり過ぎている。

それにしても祭りのシーンは素晴らしい。
三船と藤田進の槍の戦いも見事。練習から、本番まで、かなりの手間がかかっているはずだ。
最後の、獄中で姫が負け惜しみを吐くシーンも素晴らしい。処刑を待つ身でありながら「楽しかった!」と言って、歌を朗じ、それを見た兵衛は自分の主君とのあまりの器の違いに、心中穏やかでない。姫を守り切れなかった六郎太は悔しさで男泣き。このロングショットの長回し。画面に収まっている4人ともが、それぞれの胸中を態度で見せている。奇跡が起きたと言っていいだろう。

娯楽性に大きく舵を切って作られた映画で、展開の少なさの割には尺が長い。確かに面白い作品ではあるが、個人的には「用心棒」「椿三十郎」で、その娯楽性は結実した印象だ。

また、この前の年に「蜘蛛巣城」があるが、ここでもド迫力の矢撃ちのシーンがある。三船敏郎の演技は、文字通り命がけであったろう。

後年、人間の業を描くことで、黒澤の映画はより深みを増していく。個人的には「赤ひげ」ほど魂を揺さぶられた映画も少ないので、どれか一つと言われれば黒澤作品では「赤ひげ」が一番で、この映画は残念ながら好きな黒澤映画の中の一本に過ぎない。

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うそつきかもめ

5.0黒澤監督映画で一番好き

2024年4月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

興奮

幸せ

一作目のスターウォーズの原作として有名ですが、テンポ、アングル、台詞回し
どれを取っても一流でこれぞ娯楽映画!って作品で、黒澤監督映画では一番好きです。
機会があれば是非、鑑賞下さい。

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映画野郎

5.0謎の涙

2024年2月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

楽しい

興奮

幸せ

細かい批評は他の人を参考にされたい。
娯楽映画が目指すべき金字塔的傑作。
CGIのない時代の生身のはかりごとの全て。
鑑賞中上手すぎて、壮大すぎて、驚愕すぎて、爽快すぎて、人間の生々しさが記録された故の、悲しみではない謎の涙が出てくる。鳥肌である。
クリエイティブに関わる人間は特に観た方が良いであろう。

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kokobat