隠し砦の三悪人

ALLTIME BEST

劇場公開日:1958年12月28日

解説・あらすじ

黒澤監督初のシネスコープ作品。戦国時代、敗軍の大将真壁六郎太が、世継ぎの雪姫と隠し置いた黄金200貫とともに敵陣を突破し、同盟軍の陣内へ逃亡するまでの脱出劇。難関につぐ難関、次々とと襲い来る絶体絶命の危機を間一髪で切り抜けるアイデアの数々は、黒澤ほか三人の脚本家により練り上げられたもの。また、六郎太一行に付き添う狂言回しのごとき百姓コンビが、後に「スターウォーズ」の『C-3PO』、『R2-D2』の原案になった逸話はあまりにも有名。スリルとサスペンスとユーモアにあふれた、痛快娯楽時代劇の傑作巨編。

1958年製作/109分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1958年12月28日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第9回 ベルリン国際映画祭(1959年)

受賞

銀熊賞(最優秀監督賞) 黒澤明
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(C)1958 東宝

映画レビュー

5.0 大好きな映画!

2025年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

興奮

驚く

娯楽大作!Star Wars Episode IV好きな人にはぜひ見てほしい! 印象に残るシーンがいっぱいです! こんなシーンどーやって撮ったの?ってゆーシーンも多かった!
かなり前にDVDで見たので一度ぜひ劇場で見てみたいな・・・ その際には日本語字幕をお願いします! 昔の日本映画ってセリフが何言ってるかよくわからない・・😢
黒沢映画をたくさん見てるわけではないけど、まだ見たことない人の入門用としてすごくいいのではないでしょーか? 生きる、7人の侍、羅生門、乱、影武者などのなかで一番おもろかった!

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ひろぴ

4.5 黒澤映画の冒険活劇の最右翼

2025年8月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:その他、映画館

笑える

楽しい

興奮

黒澤映画全作クリアを目指した時期があり、その中であまり名作として位置付けられておらず後回しにした作品ですが、実際観たら娯楽性(いまならエンタメ性)高く楽しめました。
いまやスターウォーズ製作時に影響を受けたというのは定説です。私は微妙にこちらを先に見てました。
スターウォーズの第一作は公開時に観たが、この黒澤作品はその1、2年前に見た。スターウォーズを観ている最中になんか似てるぞと思って最後に確信に変わった。
よくできた作品でご都合主義は黒澤の娯楽作品では当たり前なので気にならない。アメリカ映画はかなり影響を受けてます。アラはありますが、映像のダイナミズムは黒澤さん特有です。
一番の見どころは姫の後ろ姿。セリフは下手ですが、旅籠屋での輝くシーンとかラストの優美な姿が映える。
俳優は結局セリフは下手でもいいと思います。三船もセリフは下手です。存在感が全てです。
こんな映画はなかなかできない。

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Kenku

4.5 黒澤流エンターテイメント

2025年8月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

興奮

ドキドキ

1958年の作品です 昔一度見たことがありますがその時はイマイチでしたが 最近黒澤作品を見続けているので勢いで久々見たら 面白かったです 2時間を超える超大作です 冒頭の百姓2人がケンカしながら山道のようなところを歩くのを後ろからとらえるシーンはスターウォーズ ジェタイの復讐のオープニングと同じ ラストの百姓2人に恩賞を与えるシーンはスターウォーズ第一作のラストのレーア姫のシーンと良く似ていますルーカスはこの作品がお気に入りです 砦を出発したあたりからだんだん面白くなります アクションシーンもけっこうあり 音楽もいいです 騎馬武者が登場するシーンがけっこうあってやはりカッコイイですね この時代にこれだけのエンターテイメント しかも今の映画でこのフィーリングは無いでしょうし 黒澤作品独特の演出がありますね

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Dr.レクター

5.0 失われた日本に捧げられた神話

2025年6月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

『隠し砦の三悪人』は「見せる」と「語る」黒澤明のうち、彼の作った30作品の中でもっとも「見せる」に重点を置いた作品である。
「理性」に訴えかけてくるその他の作品と異なり、この作品だけが唯一「感情」にも訴えかけてくる点が特異である。
しかしあえてここで、この作品で何を黒澤が語りたかったかということに着目してレビューを書いていきたい。

この映画の雛形となっている『虎の尾を踏む男達』が戦前の神話だとしたら、『隠し砦の三悪人』は戦後の神話である。
『虎の尾を踏む男達』では「忠誠心」というものが全面に出ていたが、本作では「選択と責任」が軸になっている。

雪姫は単なる姫様ではない。戦後の象徴天皇と重なる存在であり、政治権力を持たず、しかし文化的精神的な「高貴さ」「在ることそのもの」の象徴、国を背負う存在として描かれている。
つまり、彼女は日本神話の延長線上にある国体の擬人化である。

秋月家の滅亡と新たな共同体の再編成、旧来の力の崩壊と、新たな秩序・文化の再生。
これは、敗戦による国家の崩壊と戦後日本の再出発を寓話的に表現している。
喪失→放浪→再生という弁証法的展開は、古典的神話のパターンに則っている。
黒澤は無意識のうちに、戦後日本に必要な神話の骨格を再編成していたのである。

ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』でアメリカ建国神話の再構築を試みたのと同様、黒澤もまた『隠し砦の三悪人』で日本文化の神話的再設計を志向していた。
つまり、両者は国民的アイデンティティのリセットを映画によって試みたのだ。

損得勘定に生きる農民、又七と太平は、敗戦後の庶民像を代弁している。
二人は理想でも忠義でもなく、生存と打算の中で右往左往するが、最終的には理性のある共同体に再統合される。
これは日本社会の「国民統合」プロセスそのものを寓話化している。

黒澤がどこまで自覚的に「神話再編成」を意識していたかは不明だが、作品全体に「秩序と無秩序のはざまを揺れ動く人物たちの姿」が描かれている。
それ自体が戦後日本の再統合できていない不安定な状態を表し、無意識の時代精神が投影されている。

『隠し砦の三悪人』は日本人が求めていた敗戦後の日本の進むべき道、在り方を揺るがずに提示した作品ではないだろうか。
娯楽性と寓話性を両立させた黒澤明の特殊な知の成果である本作は、現在の価値判断能力を失い、先が見えなくなっている日本人にこそ見てほしい。

4K UHD Blu-rayで鑑賞

95点

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neonrg