隠し砦の三悪人

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

黒澤監督初のシネスコープ作品。戦国時代、敗軍の大将真壁六郎太が、世継ぎの雪姫と隠し置いた黄金200貫とともに敵陣を突破し、同盟軍の陣内へ逃亡するまでの脱出劇。難関につぐ難関、次々とと襲い来る絶体絶命の危機を間一髪で切り抜けるアイデアの数々は、黒澤ほか三人の脚本家により練り上げられたもの。また、六郎太一行に付き添う狂言回しのごとき百姓コンビが、後に「スターウォーズ」の『C-3PO』、『R2-D2』の原案になった逸話はあまりにも有名。スリルとサスペンスとユーモアにあふれた、痛快娯楽時代劇の傑作巨編。

1958年製作/109分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1958年12月28日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第9回 ベルリン国際映画祭(1959年)

受賞

銀熊賞(最優秀監督賞) 黒澤明
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1

(C)1958 東宝

映画レビュー

5.0三悪人とは果たして

2025年5月4日
スマートフォンから投稿

楽しい

ドキドキ

又七と太平の口ゲンカで幕を開け、同じく二人が仲良くトボトボ家路に就く姿で終わる。この映画の主人公は真壁六郎太ではなく、まるでこの二人のようだ。
明治生まれの藤原釜足が大正生まれの三船敏郎を劇中では「兄貴」と呼ぶ。千秋実も三船より年上だが、そう呼ぶ。映画の中でも二人のほうがもちろん年上に見える。
しかし強い者がやっぱり“兄貴”なのだ。それは戦国の世だけではなく、いまでも変わらない。お調子者は実力者に胡麻を擂り、媚を売り、保身を図る。弱い者はそうやって生き延びてゆく。
しかもこの二人は、自分の都合でお互い手を組んだり陥れたりしようとする。腹の中では何を考えているかわかったものではない。黄金を見たら欲が沸き、もっと、もっとと手に入れたがる。こうやって人は投資詐欺に引っ掛かっていく。まったく今と変わらない。監督は四百年前の現代を描いている。いや、映画自体が七十年近く前のものだ。まことにもって恐れ入る次第だ。
一方で、忠義に徹する六郎太がいる。気高い矜持の姫がいる。男の友情に生きる田所兵衛がいる。下女も姫を守ろうとする。
対照的な人物配置と緊迫した脱出ストーリーで、巧みに長丁場を持たせようとする。この映画はロードムービーに分類されるという。
捕虜たちが大脱走を試みる一大スペクタルシーン。火祭りで踊るシーンも圧巻だ。六郎太が馬上で二人も敵兵を斬り落とす有名なシーンは何度観てもわくわくする。又七と太平のコンビネーションは後に『スターウォーズ』でロボットコンビとして世界に進出することにもなる……。
文字通り日本を代表する痛快時代劇だ。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ぶっち

4.0コミックリリーフが活躍する冒険活劇にして、黒澤時代劇の醍醐味満載の傑作

2025年3月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

興奮

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 2件)
共感した! 11件)
Gustav

4.5キャラクター設定が素晴らしく、スターウォーズに影響を与えたのも納得

2025年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

興奮

映画の冒頭は、太平と又七のコンビの後ろ姿から始まる。ラストシーンもこの二人。この二人の他、雪姫も重要なキャラクターで、三船演じる六郎太だけが目立つ映画ではないところが魅力。太平と又七のキャラクター設定がよくできていて、観ていて身近な話に感じる効果がある。仲が良いようだけど喧嘩もよくするという、腐れ縁のような関係は、R2D2とC3POのモデルになったというのも納得できる。美しいだけでなく、気の強い雪姫のキャラクターもこの映画の質の高さを印象づける効果があり、ぴったりとはまっている。

殺陣もこの映画の魅力。六郎太と田所兵衛との殺陣は、刀ではなく槍なので珍しい。大きく移動しながらの殺陣は緊迫感があって見どころのひとつだろう。馬に乗って逃げる相手を六郎太が馬で追いかける殺陣は、ハイレベルな騎乗技術とスピード感に驚く。このシーンもスターウォーズ/ジェダイの帰還のスピーダーバイクのチェイスシーンのモデルらしい。

ラスト近くで雪姫が「雪姫は楽しかった。この数日の楽しさは城では味わえぬ。人の美しさを、人の醜さをこの目でしかと見た」と話す場面がある。ここは、ローマの休日の「ローマです。なんと申しましても、ローマです。私が生きている限り、ここでの思い出を生涯大切にするでしょう」というセリフを連想した。ただ、年代はローマの休日が1953年、隠し砦が1958年で影響を受けた側になる。

この映画について、タイトルの「三悪人」とは、誰を指すのか、という議論があるが、やはり太平と又七の二人は「三悪人」に含むのではないかと思う。(すると、残る一人は当然、六郎太だろう)確かに、悪人と呼ぶには軽くて庶民的すぎるようにも思う。しかし、「金」を運ぶという“打ち首ものの役目”を必死に果たそうとしているのだから、そう呼んでも良いのではないか。

コメントする 1件)
共感した! 8件)
p.f.naga

4.5ラストが素晴らしい

2025年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

 BSの録画(2024年12月12日放送)を視聴。本編139分。

 太平(千秋実)と又七(藤原釜足)の愉快な二人のやりとりが面白い。黒澤明監督作品『七人の侍』(1954年公開)で活躍していた俳優陣の出演が嬉しい。

 六郎太(三船敏郎)や雪姫(上原美佐)が格好良い。
 ラストが素晴らしい。

コメントする (0件)
共感した! 15件)
どん・Giovanni