「総集編としては素晴らしいが…」スタードライバー THE MOVIE Tbotaさんの映画レビュー(感想・評価)
総集編としては素晴らしいが…
総集編としては素晴らしいクオリティ。
映画という限られた時間枠(2時間半)の中で、内容を潔く大胆に取捨選択したのは見事。
カットされたエピソードは多数あるが、無駄なシーンはほぼなく、ストーリーをまとめ上げきっている。このまとめ方の評価だけなら星4か5をつけていい。
総集編にありがちなツギハギ感や違和感をなくすために、セリフが丁寧に書き換えられている。もちろん作品の理解につながる補完や戦闘シーンの追加もある。個人的には部長の何気ないシーンが人物像に深い描写を与えていて気に入っている。
と、ここまでべた褒めしたが、総集編はそんなに皆が皆喜んで見るものなのか?という疑問がある。しかも映画館で。丁寧に作られた素晴らしい総集編だからこそなおさらその疑問が強い。
もちろん総集編が好きな人にはたまらない作品だろう。自分は、本編を全部見てさらに映画館まで足を運ぶというのはかなりハマった作品でないとしない。それなのにそこで提供されるのが総集編というのは嬉しくない。TVで見ていたものが大スクリーンと大音響で楽しめた喜びはあるだろうが知っているストーリーをもう一度なぞるだけのために映画館に行く気はない。
またアニメ本編を見てないけど興味があったから総集編を…という人にもおススメし辛い。この作品の大きな面白さの一つは、癖のありすぎる登場人物たちのやりとりである。だが、総集編では大幅にカットされている。これは総集編にするうえではやむを得ないことだし、それをしたからこそしっかりとまとまった総集編になった。
もしこの作品に興味があるなら、総集編で済ますのではなく、とりあえず1話を見ることを勧める。それが面白いと思えば続きを見るし、つまらないと思えばもう関わらないですむ。
このように総集編としては確かに素晴らしいのだけど、本編を見てない人には積極的にススメ辛い。本編と総集編を何度も見比べて、修正された部分がどこかを探すことが好きな人が一番楽しめる作品の気がする。