劇場公開日 2013年9月13日

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「『奇妙な果実』を楽しめる?」ウルヴァリン:SAMURAI クラゲ男爵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0『奇妙な果実』を楽しめる?

2014年1月22日
PCから投稿

楽しい

Xmenシリーズって何気に良作ぞろいなんだけど、その中でウルヴァリンシリーズは「何だかな~」って印象が強い気がするんだな。

本作もその違和感は強い。

過去に命を救ってもらった老人がお礼を言うためにウルヴァリン(=ローガン)に日本に来てもらうのだけども、実は裏があって…。一応そういうストーリーなんだけど、そこにシリーズ特有の『マイノリティの苦悩』はなく、本作に入れられるであったろう『不老不死の苦悩』ですらあっさりスルーする感じは、やっぱり観終わった後に「なんだかな~」って感じになってしまう原因だと思うんだな。

本作の特徴であり、一番の見どころはやっぱり『トンデモニッポン』だと思うんだけど、それすらもやっぱりイマイチなんだよな~。

トンデモニッポンがダメな訳じゃない。それはそれで良いんだけど、問題は「これが日本の美だ」ってその文化を味わう作品になっているってことなんだ。

味付けでトンデモニッポンを楽しむんならいいんだけど、それを主題にして物語を作ると『火星人の美意識がどんなに素晴らしいか』みたいなSFチックにかけ離れるし、事実とかけ離れているから表現に深みも持てなくなっちゃう。

日本の(トンデモ)文化を紹介、みたいな映画は日本人には間違い探ししか楽しみを見出せないし、きっと外国の人から見てもそんなに楽しくないんじゃないかな~って思ったりもするんだ。

見たかったのは『トンデモニッポン』じゃなくて、『ウルヴァリン』の物語だったのだから。

昨今の質のいいストーリーが多いアメコミムービーの中で、本作は一昔前の『ストーリーはあれだけど、アメコミヒーローだからいいじゃん』っていう普通の作品に留まっていたことが残念。

しかし、アメリカ人は執拗に放射能に対して無知になろうとするのはいかがなものか。

扱いが“雑”なんだよなー(笑)。

クラゲ男爵