「舞台は日本、お題は主君の死とお家騒動」ウルヴァリン:SAMURAI マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
舞台は日本、お題は主君の死とお家騒動
震災で制作が延びた作品。舞台を変えることなく、日本での撮影を敢行しただけあって、最初から最後まで日本一色。ジャパニーズ・カルチャーのオンパレードだ。
切腹からはじまり、檜風呂、ラブホ、ヤクザに忍者、ロボットから「弁慶の立ち往生」まがいのシーンまで飛び出す。
これらをワケもわからず誇張したりおちょくったりするのではなく、日本という国と文化に敬意を払いつつ、西洋にウケるアジアンテイストとダイナミズムな演出を加味した描写になっている。
なかでも日本が誇る高速鉄道・新幹線を使ったアクションは斬新。完成したものを観れば、これまで無かったのが不思議なぐらいだが、ハリウッドのアイデアは平気で人間の限界を超えるタフさがある。彼らは理詰めにすると面白くないことを知っている。それにしても、日本のヤクザの動体視力と身体能力はミュータントを相手に一歩も引かないとは恐るべしニッポン。
TAO(マリコ)と福島リラ(ユキオ)といった若手が大役を射止めたのは頼もしく、菊地凛子に続いていってほしい。
真田広之の悪役ぶりもなかなか。武士道的な強さを持つ風貌とアクションで、狂気に走ると切れ味するどい怖さがある。
B級的だったX-MENシリーズも「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」(2011)でA級に格上げされた感があるが、さすがに野生的なウルヴァリン、少し元の雰囲気に戻したようだ。
せっかく日本人のキャラも誕生したことだし、次作でも日本の俳優が活躍する場を与えてほしいものだ。
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