「感情移入出来ない復讐劇映画は安酒の様に酔えずに、味気なくって、笑ってしまう」欲望のバージニア Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
感情移入出来ない復讐劇映画は安酒の様に酔えずに、味気なくって、笑ってしまう
この映画は、最初から混乱したね。やられた感が有りました。ポスターや、映画のフライヤーを観て自分勝手なイメージが出来ていたので、「アレ~?」予想と違うかも?となった。
この映画の主人公はジェシカ・チャステイン演じるマギーがヒロインの映画かと思って観たが、キーパーソンでは有るけれども、決して主役級では無かった。
「ゼロダークサーテイ」のCIAの執念の女性分析官の役処がピッタリとハマリ、オスカーの主演女優賞にノミネートされ、彼女の印象深い代表作となり、ビックスターの仲間入りを果たした彼女が出演している、本作の様な小品では、彼女の知名度がこの映画の一番の売りになるのだろう。当然の売り方だが、でも実際は違っていて少し失望したのだった。
それでは主役は誰?と言うと3男坊のジャック役を演じたシャイア・ラブーフでした。
子供時代から、この物語はスタートするのですが、そのファーストシーンからも解る様に団子3兄弟(例えが古すぎて、ゴメンナサイ)ならぬ、禁酒時代の西部で、密造酒を造ってはボロ儲けをした、不死身と言われた伝説の3兄弟の半生を描いた、ローカル新聞記事にでも出てきそうなお話でした。この3兄弟は実在した人物と言う事でしたが、正直映画として、それがどうしたの?と言う映画だった。
唯一の見所と言えば、この夏は今、「華麗なるギャツビー」が人気を博しているけれども、この作品も丁度時代的には似通った同時代のアメリカが舞台であるので、観比べてみるのも良いかもしれない。
しかし、映画の内容的には、「華麗なるギャツビー」が洗練されたNYと言う都会の人間模様を描き出していたのに比較すると、こちらの舞台はNYからは遠く、泥臭い西部の田舎の村で密造酒を生業としていた、この3兄弟の前に、新しくチャーリーと言う悪徳取り締まり官が赴任して来た事から、この3兄弟とチャーリーとの闘いが始まると言う物語だ。
それまでは、田舎の村ではみんなが互いに顔見知りなのだから、警官も袖の下が効いて、密造酒を黙認していたわけだ。しかし、そこへチャーリーがやって来て、自分にはもっと美味しいワイロをよこせと欲を出したものだから、敵対関係へと成っていき、遂には殺し合い、復讐劇へと発展する。
この時代背景を考えてみると、今とは大きく異なり、都会ならまだしも、田舎では農作業などの仕事が終了したら、そりゃあ酒を煽る事位しか、他に楽しみは無かった時代だろう。
それこそ、「華麗なるギャツビー」の様に、都会暮らしの富豪なら、豪遊する事も沢山出来ただろうが、映画館も未だ無い様なローカルな田舎の村では、本当に気晴らしは難しい時代だったに違いない。懸命に働けば、人は誰でもストレスを発散したくなり、酒こそが大きな慰めであり、楽しみとなる。そしてこの3男のジャックの恋物語でもある。ギャツビーでも、偉くゴージャスなクラッシックカーの数々が見られるのも、車好きには嬉しいに違いないが、こちらも恰好良い車が登場します。アクション映画好きや、あの時代のクラッシックカー好きにも、楽しみな映画かも知れないが、映画を観る時に、人間ドラマを堪能したい方には、物足りない映画だと思いますが、さて貴方ならどう評価するのだろうか?