許されざる者のレビュー・感想・評価
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開拓時代の北海道が、アメリカに見えた
もちろん映画でしか知らないのだが、アメリカの開拓時代のことはそれなりに思い浮かぶ。それは西部劇のおかげ。しかし住んでいる北海道が、どんな風に開拓されたか映像として描かれたものを見るのは初めてかもしれない(実際には僕が見ていないだけでいくつかあるだろうけど)
そこには、西部劇のように、「馬」がいて、「ライフル」があって、「焚き火」があって、「ならず者」がいて、「女郎宿」があって、「賞金稼ぎ」がいて、「貧乏」があって、「差別」があって、「殺戮があって」・・・・
たかだか150年前のことなのに、今とはずいぶん違う。
北海道を舞台に西部劇をリメイクした着眼点はナイス。
北海道が、開拓時代のアメリカに見える。
ストーリーが大味な感じがした。
十兵衛がまた殺人を犯すには、もっと葛藤があってもいいと思うかな
見事でした。
名作のリメイクであるが故に普通ならば厳しい意見が大半を占めると予想される中、見事な高評価。
私も正直イーストウッド版よりもしっくりと来たのは日本人だからだろうか?
今まで、黒沢時代劇を西部劇にリメイクした作品は多いが、西部劇の時代劇へのリメイクは記憶にない。
そんな中、この作品を選び、それを見事に作り上げたスタッフは見事でした。
イーストウッド版と見比べても決して負けてはいないと思います。
ぜひ多くの人に観てもらいたい。
何故、イーストウッドの名作のリメイクでなければならなかったのか
実に評価が難しい作品である。
一本の映画としては見応え充分。
演出はどっしりと構え、役者も熱演。
アイヌや明治初期の背景を絡め、巧く日本の風土に溶け込ませている。
雄大な映像も素晴らしい。
だけど、やはりどうしても払えきれない違和感が。
何故、イーストウッドのリメイクでなければならなかったのか。
オリジナルは至高の名作。いくら才ある日本の映画人が尽力しても、太刀打ち出来ない事は分かり切っている筈である。
ならば、日本オリジナルの時代劇として作った方が、絶対に評価も上がった事だろう。(実際、サブエピソードで描かれるアイヌの悲劇をメインに据えたオリジナルの時代劇の方こそ見たいと思ってしまった)
設定が似ている点についても、オマージュを捧げた事にすれば、イーストウッドと渡辺謙は繋がりがある訳だし、それすら敬意として評価される。
リメイクにした時点で、この映画は自らハンデを背負ってしまったのである。
演出も演技も悪くはないが、かと言って手放しで絶賛には至らない。
まず、演出面。イーストウッドの演出はドライで緊張感溢れ、格調高く深淵なものだった。李相日の演出も緊張感はなかなかだったが、感情をなぞる。これは日本人の感性に合わせたものなのだろうが。
渡辺謙は静かに怒りがこみ上げる熱演を見せてくれるが、伝説の人斬りの過去を背負った枯れた佇まいにはちょっと乏しい。
佐藤浩市は暴力的な狂人にしか見えなかった。ジーン・ハックマンは善と悪の不条理を感じさせたが。
役者陣では、柳楽優弥が印象に残った。
駄作ではないし、決して“許されざる映画”でもない。むしろ、好きなタイプの映画である。
でも…。
さっきから良いと言ってみたり否定してみたり、意見がふらつき大変恐縮だが、感じた事を思った通りに書いたまで。
なので最初に記した通り、評価が難しいのである。
(それでも、来年の日本○カデミー賞では高く評価される事だろう。ほとんどの部門でのノミネートはまず間違いない。それどころか、大量受賞も…?)
リメイクの宿命で、どう捉えるかは見たアナタ次第。
誰が許されないのでしょうか?
さすが「悪人」の監督です。
元の映画の記憶が観客に残っている年数しか経っていないのに日本映画として
勝負を挑み、それを実行した自信には敬意を覚えます。
元の雰囲気を壊さず、題への解釈をより深めた感じを受けました。
確かに、この方が題に忠実なような気がします。
絵は、面白い事になんか原画を日本画にしたような気がしました。
何故なんでしょうか。
バターの味付けでは無く、味噌・醤油の味付け。
ただ、やはり銃は、日本映画に合わないような気がします。
時代考証として無理が無いのは理解してます。
がしかし、刀だけでストーリーを組む事は出来なかったのでしょうか。
いやしなかったように思えます。
黒澤監督の「7人の侍」を「荒野の7人」でウエスタン調にリメイクできたわけで、この監督なら可能な気がします。しかもどちらも名作です。
リメイクでありながら、水準をキープしている作品はめったにお目にかかれません。
作品としては申し分ないのですが、この点を原点ー1としました。
数少ない日本映画の名作「切腹」「十三人の刺客」を破壊したリメイクを実行した監督の選択とは、大きく違います。
人間の内面の浮き彫り
主役の十兵衛を通して見えてくる人間の儚さや、脆さ、哀しさ、愚かさ、醜さ、そして自らの命をも引き換えに覚悟をする深い愛情。現代ではあかる様にしない感情の動きと言うものが
この映画には込められ、その感情と言うものも貧困や差別と言う環境によって強いられる者が多い
時代背景を巧みに表現されている。
北海道と言う大自然の中で生き延びる為に必死な小さな者達の叫びは刹那であり、そして深い愛情に満たされるこの映画は誰が一番悪いのかを忘れてしまいそうな素晴らしい映画です。
リスペクトを感じる
イーストウッドのこの名作に対する李監督のリスペクトを強く感じた。
「許されざる者」は、僕のNo1フェイバリットだから、
ストーリーはもちろん、その映像の細部までしっかりと頭に入っている。
そのディテールでいえば2つのシーンが強く心に残っているのだが・・・。
2つとは、賞金を求めて3人が荒野を行くシーン。
オリジナルでは太陽と川と風がきらめくように描かれていた。
水面に太陽がゆらゆら、その中を3人の乗った馬が走り抜けるシーンは
詩情性にあふれていた。
北海道に場所を移しても、真っ白な雪山の世界に、
見事な大自然を捉えていたを捉えていた。
もう一つは、長年の相棒がリンチにあって殺されたと聞いたときの、
主人公が、長年やめていたウィスキー(酒)に手を出して、
ごくりと飲み干すシーン。
そのときの戦慄といったら、息が止まる思いがしたのだ。
ここも重要なシーンとして、とらえていたことに満足を感じた。
だから、そのほかのところがオリジナルとは違っていてもしかたないと思う。
たとえば、日本版キッド役により重きを置いたことも、
残された子供をサポートするのが、違うものたちになったことも、
それはそれで、よく考えてのことだったような気がする。
だから、僕はこの映画について悪く言うつもりはないのだが。
完璧に近い作品をリメイクするといったとき、
この批判は織り込んでいただろう。
それでも、作りたかった。やりたかった。描きたかった。
このどうしようもない欲望は抑えられなかったのだと思う。
それが映画監督といおうか、アーティストだから。
役者たちもそのプレッシャーによく耐えていると感じた。
そこには、日本映画としての甘えは全くなかったと思っている。
ただ、オリジナルには到達することは難しかったというべきだろう。
オリジナルに思いを馳せてしまうな
折角のリメイクなので比較したくないけど、やはりストーリーとキャラクター配置が同じなのでついオリジナルが浮かんでしまった。というか、リメイクは凡庸で退屈な日本映画だったな、と。北海道の風景、美術など見所はあれど、まったく面白くない。
脚本、よくないですね。何がどうあっても女郎の顔刻む男と刻まれる女から始めなきゃ、だと思う。
枯れて、軽やかで、残酷なオリジナルを、若い監督が深刻に作り直して惨敗した感じです。
『十三人の刺客』とかリメイクでも本家を凌駕できるリメイクもあるんで、多分よくないリメイクだと思う。そもそも本家はアカデミー賞はとってますが、言ってみればそう大層な話でもないので、何をそんなに深刻ぶった芝居と深刻ぶった音楽つけてんのか理解に苦しむ。たぶん製作者側にイーストウッドのファンはいないんでしょうね。何度となく撮り慣れた宿場町を軽やかにさばくイーストウッドと、アカデミー賞作品を日本に翻案しようと若手監督が必死でやっている本作(監督初の時代劇?)、考えてみれば、「イーストウッドによる最後の西部劇」とえらい違うものをよくぶつけたな、と。
まあ、リメイクなので、ほかの楽しみを見つけられればと思っても、オリジナルがチラツイてしょうがなかった。こんなつまんない話だっけ?と何度も思った。
芭蕉じゃないけど、「わび」「さび」のあとのあとの「軽み」の境地の西部劇によく挑んでしまったな。
ラスト方面の改悪エピソードを見ながら、「若過ぎ」と思いました。
重い・・・
小説の罪と罰を読んだ感じに近いかな。
人間の業とでも言うべきでしょうか
奥さんに改心させてもらいながら
子供もいるにまた金の為に人を殺める。
綺麗事では生きていけない時代、選択肢の無い時代ですから仕方ないのかも知れません。
ただ個人的には渡辺謙さんの演技は素晴らしいですが
多くの人を殺めた人の顔には見えなかった。
その悲しみは感じましたけれどね。
最後の謙さんが決闘現場から離れるシーンは圧巻です。
神話性から真実味へ。
酒場の斬り合いは蛇足に見えたが、
罪と罰とやり場の無い怒りと悲しみを、
地獄の業火とともに背負った釜田十兵衛の彷徨、
生への壮絶な執着と生き抜く覚悟が凄まじい。
その生き様を、
過酷と荘厳の蝦夷地の景色が際立たせ、重厚感を演出。
オリジナルの神話性から、
ずしんと響く真実味へと転化。
力強い余韻を残すラストカットが印象深い。
壮大な大地の景色がすごい
舞台挨拶付きの試写を鑑賞しました。
主演陣達が、口々に監督のしつこさをアピールしていましたが
そのこだわりが、随所に見られる久々のいい日本映画だと思います。
狂気の人切りにかわっていく最後のシーンは
渡辺謙さんの迫真の演技が見物だったし
極寒の北の大地の厳しさや、雄大な風景は
映画のストーリーの上で、とってもいい演出になっていました。
ただ、ハッピーエンドはないし、幸せや希望を描いたものではないので
見る人を少し選んでしまうかもしれませんが。。。
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