「道徳的ジレンマ」藁の楯 わらのたて じぶさんの映画レビュー(感想・評価)
道徳的ジレンマ
いわゆるトロッコ問題がテーマの寓話なのかなと。
最初は共感できる「被疑者を無事護送するか殺して金をもらうか」という問題から徐々にハードルが高くなって行き、最後は恐らく大半の観客が飛べないであろう高さになる。
最後の最後まで主人公が守りたかったのは自分自身なんだろうと思う。
ここまでシビアな決断したことないけど、結構身につまされる映画だった。胸がモヤモヤ、ドキドキして息苦しかった。
大沢たかお、藤原竜也の演技も素晴らしかった。
ストーリーや設定に気になる点は多々あったが、 私は読み取ったテーマにはまった感じ。
ともかく清丸の言った「スゲエ」に尽きると思う。
清丸のスゲエは、こんなバカが本当にいるのか、という意味だと思う。
子供の頃に見たヒーロー物や魔法少女物の主人公が必死で守ろうとしていた何か。
年を重ねて経験を積むにつれ「とはいえ現実は無理だよねぇ」と思うのが当然の何か。
ニヒリストやリアリストがバカにする何か。
和布刈が正しいとのかどうかも分からず、拠り所もなく、妄想によりギリギリ支えられることで貫いた何か。
初現実の世界に初めて見た自分と違う世界の人間だったからこその「スゲエ」だと思う。
私も「スゲエ」と思った。
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