「設定の斬新さ/奇抜さで逃げ切れなかった作品。」藁の楯 わらのたて Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)
設定の斬新さ/奇抜さで逃げ切れなかった作品。
設定の斬新さ、そして奇抜さ。
劇場に足を運ばせる魅力は十分に有ると思います。
…が、残念ながらソレだけ。
状況に進展があるように見せてはいますが。
基本的には、移動⇒襲撃⇒疑心暗鬼⇒清丸の反応⇒移動、の繰り返し。
特に中盤以降は不自然な点が多過ぎて物語の展開に集中出来ないノイズになっていました。
描写したい部分は分かるのですが話と話の繋ぎ部分が雑過ぎてガッカリという感じでした。
個人的に印象的だったのは清丸の異常性を描きつつ、実は相対する人物、そして「異常ではない」とされる一般人の異常性を描いている点。
清丸が強烈な個性を放っているため、一見、清丸への嫌悪や憎悪が高まる作りになっていますが。
彼と対比する形で描かれている普通の人々が隠し持つ異常性や汚い部分に気付かされます。
特に終盤。
或る人物による或る決定以降の状況の変化を観て、これまで登場人物からの口から吐かれた綺麗事や義憤が正に欺瞞であったことが分かります。
結局は金かよ、という絶望感すら覚えます。
エンドロールで監督名が中央で止まる映画に傑作無し、とはよく言ったもので。
同じ監督であれば「十三人の刺客」が断然オススメです。
色々な意味で期待を裏切られたい方のみ。
オススメです。
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