「すごい映画だね。」藁の楯 わらのたて なつひさんの映画レビュー(感想・評価)
すごい映画だね。
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本当に救いがない。
これでもかというくらい徹底した映画という印象。
清丸や銘苅をはじめ、それぞれの役者の熱演にも素直に拍手を送りたい。
ストーリーも始めから最後まで、歯を食いしばって耐えるしかない嫌悪感に溢れていた。
それぞれの登場人物が全員狂っているように感じたが、私は銘刈が一番気持ち悪かった。
まさに正義の権化のような存在で、任務の遂行のため、信念のために手段を選ばない。
私心は徹底的に排除して、そのせいで自分の命まで危険に晒す。
非常に魅力的な存在で、それ故に気持ち悪く、絶対に存在して欲しくないと感じた。
清丸の射殺命令が出てからも愚直に任務を遂行しようとし、白岩が殺されても、亡くなった妻を侮辱されても、自分の心の深いところを嗤われても、何があっても清丸を殺さずに連行する。
それも冷淡にではない。感情を露わにしても殺意をむき出しにしても、決定的な行動は必死にねじ伏せる。
頼むから殺してくれと何度も思わされた。
強すぎて正しすぎて気持ち悪い。素晴らしいキャラクターだった。
このような人物造詣を見られたことが、この作品の最大の収穫であった。
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