「そもそも設定が非現実的で演出も臨場感に乏しい」藁の楯 わらのたて phoenix1さんの映画レビュー(感想・評価)
そもそも設定が非現実的で演出も臨場感に乏しい
政財界に影響力のある大物が個人の恨みを晴らすために、全国民に対して、報奨金と引き換えに加害者を殺害する依頼広告を出すところからストーリーは始まる。現実味の無い設定であるが、映画がどれほどまでに観る者をこの非現実的なドラマに引き込めるのかを期待して鑑賞した。しかし残念ながら最後まであり得ない展開の連続で、「もしかすると起こりうる危機感」を煽られることは全くと言って良いほど無かった。漫画なら許せるが、映像となると、失望感に満ちてしまう。藤原達也のクズぶりは中途半端で不完全燃焼。大物役の山崎努も往年の名優らしさを出し切る場面がない。松嶋菜々子も、役の真剣さがかえって松嶋の素人くさい演技を露呈させてしまっている。唯一、新鮮さも手伝ってか、永山絢斗の劇中最後の演技からは「せつなさ」が伝わってきた。主演の「大沢たかお」については、役柄に徹して好感は持てるが、脚本が稚拙なのか、映画は全体的につまらない。
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