「日本映画も、スケールがでかくなりましたね」藁の楯 わらのたて 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
日本映画も、スケールがでかくなりましたね
「この男を殺してください、御礼として10億円お支払いします。」
何とも、すごい話です。犯罪者を護送すると言うシチュエーションを描いた映画といえば、『S.W.A.T.』や『16ブロック』などが思い付きます。その中でも特に『S.W.A.T.』に類似している印象です。『S.W.A.T.』の場合は、護送される犯人が「自分を逃してくれたら賞金をやる」と宣言したため、それを聞いた全市民が護送チームの敵になり、加えて、護送チームの中からも裏切り者が出てくるという設定になっています。今回の『藁の楯 わらのたて』は、護送対象の犯人を殺す依頼であり、逃すと殺すで違いはしますが、全国民が敵になったり、味方の中にも裏切り者が居るというところなどは、だいぶ似ているなぁと思いました。
映像のスケールが凄いですね。日本映画もここまで来たかと言う感じです。冒頭の護送車列は完成直後の実際の高速道路を使用して撮影。いやぁ、アレだけのパトカーなどの緊急車両の車列はこれまで見たことがありません。それと何と言っても、新幹線シーンですね。これは日本の新幹線では撮影できなかったので、台湾新幹線の実車や実際の駅での撮影です。外装が日本の新幹線とは異なるので、外を映すと台湾新幹線であることを否定しきれませんが、内装は日本の新幹線と同じ。そこだけ見るとビックリです。(まぁ、中だけだったら、セットで撮影するという手法もありますけどね)
出演陣も豪華。大沢たかお良いよ。特にクライマックスの銘苅が清丸に銃を向けるシーンは、鬼気迫った演技で凄みを感じます。理性と衝動の葛藤を物凄く感じました。
ただちょっと、白岩を演じた松嶋菜々子が、ね。スレンダーなスタイルは、女性SPそのものの感じですが、彼女のアクションは若干微妙。冒頭の射撃訓練のシーンとかね、あれじゃぁ手首を痛めそうな気がします。アクション女優といえば、水野裕子じゃ無いんですかねぇ~。ただ、水野裕子だとシングルマザーという設定が少し苦しくなるか?小さい子供ならアリだと思うんだが・・・。ただそうすると、「おばさん」と言う設定が出来ないか。
それはそうと、清丸のクズぶりは凄い。凄すぎる。本当にあんな犯罪者がいたら、精神鑑定必至。下手したら、責任能力が否定されるかも。
所々、突っ込みたくなる所はありますが、それを超えて満足です。第66回カンヌ国際映画祭のコンペティション公式選出も納得ですね。