「まっすぐな目にやられた。」ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ! とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
まっすぐな目にやられた。
優雅さ、表現の豊かさってこういうものをいうんですね。
失礼ながらちょっと太めなミケ―ラさんが、踊りだしたとたん、息を飲んだ。本当に彼女のホワイトスワンが観てみたい。うん、彼女ならできる。
「舞台はアクシデントが起こるものだ。この程度でへこたれるな」っていうコーチの言葉に励まされました。失敗した時の回復力が一番の武器ですね、何事も。
もち時間5分の世界。
しかも怪我とかで常に万全の態勢で望めるわけではない。そんな言い訳しちゃったら「体調管理も実力のうちよ」って言われちゃう。
ちょっとしたミスが大きく結果を左右する。
努力しなければ結果は出ないけど、努力したからってそれがなんだという世界。
その中での言葉。半端ない。失敗を、実力が発揮できないのを周りのせいにしているのが情けなくなる。
ミケ―ラさんの踊りが一番好きだなあ。あとガヤちゃんもいいかも。チケット買って観に行くならこの二人かな?
ジョアン君、アラン君は王道。
人間的にはジュールズ君を応援したくなる。コーチに負けるな、ママゴンに負けるなって。
ミコさんは操り人形みたいで最初つまらなかったけど、ファイナルは凄かった。
と、子供だけど、値踏みされる世界。芸術って素晴らしい半面、酷ですね。
お父さんだけ戦地に単身赴任とか、 家族の生活背負わせるとか、どの子の親も同じように応援しているのに、ミコさんのお母さんだけ子供を食い物にするママゴンに見えてしまうのは何故なんだろう??仕切り屋さんだからかなあ?前に出過ぎだからかなあ?お父さん、母子がバレエに熱心だと仕事に打ち込めるからいいって、そればないだろう。
それだけではない。お母さんが言う。「成功はこの子の手柄、失敗はすべて私のせい」全てを捧げる献身的な賢母のようだが、一歩間違えれば、自分で責任取れない大人に育ってしまう可能性だってある。
自己献身に酔っている母。これほど恐ろしいものはない。
選に漏れた子とか、才能ありながらも条件がそろわずに続けられなかった子のことを考えると複雑。
ましてや今回コンクールで賞をとってもプリンシパルになれるかなんてわからない。
もし怪我とかしてバレエ続けられなくなったらどうするんだって突っ込みどころは満載の世界。
だけど、彼らの顔見ていると止められない。体中から、心の底から”踊りたい”!!!っていう叫びが聞こえてくる。
納得するまで、頑張れ!!!