劇場公開日 2013年6月1日

「完全なる不発の映画」リアル 完全なる首長竜の日 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0完全なる不発の映画

2013年6月14日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

知的

佐藤健と綾瀬はるかという純愛映画を一本撮れそうな人気の美男美女共演ながら、なかなかに異色作。
本筋はラブストーリーではある。
突然自殺を図り昏睡状態となった漫画家・淳美を救う為、恋人の浩市は彼女の意識の中へ。
他人の意識の中へダイブ出来る架空の医療システム“センシング”の設定がSF要素を加え、さらに、意識下の不穏な世界や実体化する死体や無表情のゾンビなどの恐怖演出は並みのホラー映画よりゾクッとし、鬼才・黒沢清の手腕が光る。

序盤はラブストーリーでもありSFでもありホラーでもある一風変わった作風に興味惹かれたのだが…。
中盤、文字通り話をひっくり返す展開となるが、新鮮な驚きはなかった。
終盤はB級恐竜パニックへ。
話の肝である首長竜は過去の忌まわしい記憶を象徴したものなのだが、首長竜である必要性を感じられず。
現実と意識下の世界、現在と過去、それぞれリンクし合ってはいるものの、複雑に絡んだ様々な要素がかえって収拾つかない展開となり、決定的な盛り上がりにも欠け、結局愛は勝つ“嘘だろ”なオチに。

日本の「インセプション」「エターナル・サンシャイン」にはならず。
初メジャー作品となった黒沢清監督にとっても今回は不発としか言いようがない。

近大