ローマでアモーレのレビュー・感想・評価
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葬儀屋のオペラ。
最近ヨーロッパづいている、アレンのお得意群像コメディ。
いつかアジア編?を東京で撮ってくれないかなぁ~
なんて、毎年同じような作品を観続けていると思えてくる。
今回はイタリア・ローマということで、演出といい音楽といい
冒頭からずーっと弾けっぱなし♪実に面白い111分だった。
ローマでイケメンと娘が婚約をしたエピソードでは、
ご本人が娘の父親役で登場、元オペラ演出家ということから
どうなるのかと思えば、凄い演出を仕掛けてきた(乞うご期待)
確かにそうだ^^;皆シャワーやお風呂で歌うと上手いもんねぇ。
しかしあんな舞台、あるんなら絶対観たいぞ。
田舎から上京した新婚カップルには、訪問する部屋を間違えた
コールガールが絡んで、嫁の身代わりで親族に紹介するハメに。
道に迷った嫁は嫁で、往年の人気スターと巡り会うのだが…。
一番面白かったのは、平凡な中年男レオポルドの話。
ある日突然有名人に祀り上げられ、来る日も来る日もパパラッチ
の攻勢に取り囲まれる。その日のパンツや、歯磨き粉の種類まで
ニュースにされるという、笑いながらも恐ろしくなる話なのだが、
結局終いには他の人間にターゲットが移り、取り残された彼は…。
最近コメディづいているA・ボールドウィンもいい。
自身の過去?を投影する青年に付き纏い、あれこれ世話を焼くが
小悪魔な女子に惑わされていく彼を、何とか目覚めさせようとする
アレックの、いちいち説教めいた訓示が面白い。
それぞれの話が絡むというワケではないが、いつも通りに
テンポよく話は進み、〆はもちろん父親が演出した舞台評へ^^;
まさか葬儀屋のオヤジが!?シャワーで!?というのはお見事。
映像にも台詞にも笑わされる、彼のセンスが伺える楽しい作品。
(誰もベニーニのパンツの色なんて知りたくないもんねぇ^^;普通)
コメディアン ウッディ・アレン
バカバカしい大人のコメディで、久しぶりに大笑いした。きっと、脚本家のウッディ・アレンにとっては、こういう肩の力を抜いたコメディはお茶の子さいさいなのだろう。ローマという舞台で、本当はどうかわからないが、いかにもイタリア人らしい気質を描く。大袈裟な手振りやジェスチャー、時に刃物を振りかざしたり、とくにベニーニは、すべてが滑稽だった。
4つの物語は、それぞれに滑稽だが、笑いのレパートリーが豊富で、ちょっとずつ違う。ただただ大爆笑なのは、ベニーニとアレンのストーリー、残りの二話は、シニカルな感じ。さすがに、アレンはセンスがいい。
また4つの物語に共通するのが、イタリア人はだれもが、同じ人生ならリッチな有名人になりたがっているという妄想だ。このキーワードが織りなす、ユーモアあふれるスートーリーが、まさかの展開を生み、滑稽な人間の営みは、大笑いなしでは観られなくなる。
久しぶりに、ウッディ・アレンもスクリーンで観れたし、満足の一本。
アレンらしく皮肉がきつい
ウッデイ アレン出演、監督のアメリカ映画。
「それでも恋するバルセロナ」でスペインを描き、「ミッドナイト イン パリ」でパリの魅力を、かき口説いて説明してくれたウッデイ アレンが 今度はローマから「アレンのローマ」を作って欲しいという注文を受けて 作られた作品。 スペインもパリも良かったが、今回のイタリアは少々、皮肉が効き過ぎたか。
ストーリーは 4組の人々が、同じ時にローマを訪れていて、同時進行的に、様々な経験をする。
一組は
今は、初老の著名な建築家、ジョン(アレック ボールドウィン)が、自分が若かった頃に建築を学ぶために留学していたローマを再び訪れている。昔を思い出しながら、感傷に浸って かつて自分が住んでいた街を歩き回るうち、過去の自分に出会う。恋人と一緒に暮らしていたアパート、自分が建築家になるためのインスピレーションを与えてくれたローマ古代遺跡の数々、石畳、、。彼は恋人を訪ねてきた女友達に恋をして、同時に二人の女性達から立ち去られた。ほろ苦い思い出に、身をまかせる感傷旅行。
アレック ボールドウィンの若い頃を演じる、ジェシー アイゼンブルグとその恋人グレタ ゲーウィックの丁々発矢の早口会話が面白い。頭の良い若い人たちが、普通の人の会話の3倍くらいの早さで論議する姿が 理屈っぽいウィデイ アレン風と言える。
2組目は
新婚旅行で、田舎からミリ(アレクサンドラ マストロナード)と、アントニオ(アレクサンドロ テイべり)の二人がローマに来た。ローマに来た目的のひとつは 新妻を叔父叔母達に紹介することだが、親戚達はアントニオに、ローマで自分達の商売を引き継いで欲しいと思っている。親戚がホテルに訪ねて来ると言うのに、ミリはホテルから外に出て、迷子になってしまう。そこで偶然、彼女はあこがれの映画スターに会って、誘惑されホテルに。ところがホテルの部屋に強盗が入り、その上、現れたのは、探偵に付き添われた映画スターの妻だった。とんだ目にあう新婦だが彼女は、今まで田舎ではできなかったスリルたっぷりの貴重な経験を楽しんでいた。
一方、彼女をホテルで待つ新郎の部屋に、何の間違いか娼婦(ペネロペ クルーズ)が入ってくる。娼婦はさっそくベッドで商売を始めようとするが、そこに親戚一同が押しかけてくる。一同は娼婦と一緒にバチカン観光に行くことに。何やらかにやら、たくさんの出来事に巻き込まれた末、新婦は新郎の待つホテルに帰ってきて、一件落着。いかにも非現実的だが、イタリアならば こんなことも起きるかもしれない、と思わせる。
3話は
イタリア人と結婚することになった娘のために、その両親ジェリー(ウッデイ アレン)とフェリス(ジュデイー デイビス)が、アメリカからローマにやってくる。青年の父親、ジャン カルロ(ファビオ アルミアト)は葬儀屋を営んでいるが、めっぽうオペラを上手に歌いこなす。ジェリーは引退した音楽監督なので、そのつてで、この葬儀屋を、歌手として売り出そうとプロモート始めるが、彼は風呂場では朗々と歌えるが風呂を出ると、からっきしダメ。結局、舞台で簡易シャワーを運んで、シャワーを浴びながら歌わせて、オペラを成功させる。
ここでは、ローマでは一介の市民が プロのオペラ歌手並みにオペラを歌うのに面食らうアメリカ人を大いに笑っている。本物のテナーの人気オペラ歌手、ファビオ アルミアトが出演していて、素晴らしい歌声を聞かせてくれる。
4話は
平凡な事務職に就いているローマ市民、レオポルド(ロベルト ベニーニ)は、何の取り得も、才覚もあるわけでなく、平々凡々妻と子供達と暮らしていたが、ある日突然、パパラッチに追われる身に。朝食に何を食べたか、下着は何色か、とまでインタビューで問われて、それごとに大騒ぎされる。それに彼は、怖くなって、面食らって、逃げてばかり。そんな日も、しかし、突然何事もなかったように終わり、今度は誰も 彼に関心をもってくれない。騒がれなくなった彼は、かつてのパパラッチに追われていた、栄光の日々を思い出して、自分を失ってしまう。ここではパパラッチ好きの 熱しやすく冷めやすいイタリア人気質と、それに振り回される小市民を笑っている。
コメデイーだが、こんな風に イタリア人を笑ってばかりいていいのだろうか。ウッデイ アレンの笑いが わはは、と笑う楽しい笑いよりも ブラックなカラーが濃いことが気になる。それこそが、ウデイ アレンの味だろうが。
アレンはニューヨーク、ブロンクス生まれのユダヤ人。小男で醜い顔をしている。それを自分が一番承知している。子供のときから手品が好きで、人を笑わせ、ウッデイ アレンの名前で16歳のときからギャグやジョークを書いてきた。舞台にも映画にも進出して、駄作も含めて、沢山の作品を生み出してきた。特に、「アニー ホール」1977年、「マンハッタン」1979年、「カメレオンマン」1983年など、独特のおかしみで、愛好者を増やしてきた。
ウッデイ アレンの作品の特徴は とにかく よくしゃべることだ。会話が多く、おしゃべりすぎてしつこい。知的で神経質で ひとつのことに偏執狂的にこだわり、言い訳をのべつまくなしにしゃべり続ける。そのしつこさに辟易する。
今回の映画でも美声の葬儀屋を まわりの迷惑と反対を押し切って、簡易シャワーとともにオペラ舞台に強引に押し上げてしまう。全くしつこくてお手上げだ。笑うよりもげんなりしてしまう。この味が ウッデイのファンにはたまらないのだろう。
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