クラウド アトラスのレビュー・感想・評価
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マトリックスの監督だけある
視聴は2度目。「マトリックス」を監督したラナ&アンディ・ウォシャウスキーだけあると思った。東洋哲学にも造詣が深い彼らだけあって、「輪廻転生」しながら魂が成長していくというテーマと、そういった価値観ではなく、際限がない欲望のまま、この世界を支配しようとする人種たちとの戦いを描いた作品だと思った。
この映画では、6つの物語を通して、登場人物が善や悪の因果を後世に引き継ぎながら、人種差別、同性愛、軍産複合体、高齢者問題、世界支配層とクローン人間、地球環境破壊と再生に、善と愛とで立ち向かう人々を描いている。
ラナ&アンディ・ウォシャウスキーは、マトリックスと同様、輪廻転生を繰り返しながら魂が成長していくという思想を、世界は葬ってきたという立場に立っている。基本的には、愛が高まることによって、人と人との間の波動が高まって、人間性のレベルが上がって、それが世界に広がっていくと言いたいのだ。輪廻転生について著述した「前世療法」などの本を読めば、「輪廻転生」がある可能性が結構高いと感じる。しかし、それが真実だとすると困る。人間は、皆、欲望に貪欲で、それらを操って世界を支配したいという人たちがいるからだ。それが、支配の構造であり、今般、陰謀論と呼ばれるものだ。
陰謀論というと、胡散臭いが、資本主義の本質や戦争がなくならない理由を考えれば、誰でも理解ができる。自分だけが儲けるにはどうしたらよいのか。一番手っ取り早いのは、人々が物を必要とする状況を作り上げることだ。アルコールやら薬物、スマホやゲーム、流行やらで依存や中毒状況を作ってしまえば、誰もがそれなしではいられなくなる。敵を誇張して悪魔のように喧伝し、人々を恐怖に陥れれば、軍備増強に税を差し出し、戦争も辞さないようになるだろう。死ぬ可能性が高い感染症の恐怖を刷り込めば、マスクをし得体のしれないワクチンを打ち、十分な治験が済んでいない薬を服用するだろう。強欲な支配者たちの常套手段である。
それらの人たちは、マスコミも買収して、人々が欲望を我慢できないように洗脳し、人々を争わせ、世界から思うが儘に搾取をして、普通の人々を獣のように扱っている。この映画では、過去から未来に至るまで、権力を蹂躙される人たちは、強欲な人たちによって命を奪われている。
マトリックスでも、そうだったけれど、世界の真実に目覚めるには、それ相応の知識と見識、嘘を見破る力が必要だ。真実のために戦う人は、譬え最初は一人で、大河の一滴でも、時が経てば目覚める人が増えて、大きな流れとなる。クラウドアトラスは、6つの物語と輪廻転生というテーマに隠された見えづらいが、真実の生き方は、愛の波動を高めることで人間が進化していくことをメインテーマとして描いていると思った。他に類比できる作品がないこと、テーマの壮大さから評価は5.0
六年後に起きるのはスリーマイル島原発事故。ほとんどの鑑賞者は覚えていないだろう。
おはようございます。後に2時間残して
寝てしまった。なんだか訳わからない。
『命は自分のものでは無い。子宮から墓場まで人は他者と繋がる。過去も未来も』そして『すべての罪とあらゆる善意が未来を作る』と締めくくる。まぁ、この映画の結論なのだろう。なんとか4時間かけて、理解し完投出来た。
性別を無視して、一人の高額な役者に演じさせるコストパフォーマンスを考えているのは評価出来そうだが、CGに頼っていたのでは同じだ。CGを使わずに無名の役者を使った方が良かったと思うが。もっとも『無名の役者』も『主演男優賞』を貰える時代たからね。
この映画に付いてはまともにレビューすれば、削除されてしまうと思う。だから、その点は詳しくは触れない。でも、『分断された国家』とか『性別の問題』とか『人間哲学の問題』とか『エネルギー政策の問題』とか問題提示している。その意欲だけどは買わなければならない。しかし、結論は相変わらず『ノアの箱舟』だし、一番問題になる『利権と宗教』に付いては、余り触れていない。
『ブレードランナー』と『ソイレント・グリーン』と『スローターハウス5』を足して3で割って、
最後に0を掛けた様な映画だ。
いま、人生の謎が解けようとしている
始まりは奴隷貿易の時代。
奴隷貿易の一端を担う弁護士には、黒人の友がいた。
財産を狙う医者に命を狙われるも友人に助けられ、奴隷貿易の撤廃へ一石を投じることとなる。
時は流れ中世。
高貴な生まれの男と親密な関係を持つ作曲家志望。
旅の中高明な作曲家の右腕となる。
輪廻の中から手繰り寄せた音楽を認めるため、作曲家から逃げ出し、弁護士の公開日誌を愛読しながら、クラウドアトラス交響曲の完成させ、最愛の人を想いながら自らの命をたつ。
約40年後。
偉大な記者を父に持つ芸能ジャーナリスト。
物理学者となった、高貴な生まれの男との出会いから原発事故を誘発し、石油市場の安寧を企むものたちの存在を掴む。
交響曲や物理学者の持っていた作曲家志望の手紙を手がかりに決定打を見つけ出し、摘発に成功する。
そして現代。
過去に高明な作曲家の妻と関係を持った老人。
金に貪欲な生き方をしてきたツケで、まるで強制収容所のようなホームに入れられてしまう。
一世一代の脱走を試みて、その経験を脚本として残す。
そして未来。
朝鮮半島は海面上昇により沈み、ネオソウルなる都市は原子力の文明により栄えていた。
そこではクローンを用いた奴隷制が再建されていた。
革命軍は脱出劇の映画から、虐げられる現状からの脱却を目指すクローンの内の1人を引き入れ、地球外の都市へ非人道的な行いを発信するも、統治勢力に蹂躙されてしまう。
反乱に加わったクローンは波紋が広がる事を確信しながら処刑される。
文明崩壊後。
古い民の文明を利用する民族と、原始的な生活を続ける民族が混在する世界。
革命軍に属したクローンが神として崇められる。
故郷での変化のない生活を望むも、放射線により留まれば滅亡してしまう事を知る。
一度は拒んだものの、異邦人を受け入れる事で次の世代へと託すことが叶う。
大海に投じた一滴の滴もいずれ大海となる。
各々の世界で境界を取り払い、あえて困難に立ち向かう事で一石を投じた。
それらの行いは精神を形成し、業へと繋がる。
面白いけど…?
一回見ただけじゃまだ完全に理解しきれてなく、2回以上見ないと分からない事が結構ある。
それぞれの話のテーマはとても刺さった。
何気に編集者の老人ホーム逃走劇が好き。
それぞれの話は結構ありきたりかもしれないけどワクワクして面白かった
時空を超えた6つの物語のアンサンブル
英国の奴隷貿易時代の解放運動の芽生えから第二次大戦間際の時代の若き同性愛者の絶望、オイルショックの時代の原発事故の陰謀、現代の監禁老人ホーム、ブレードランナーもどきの近未来、マッドマックスもどきの生き残り組、別惑星への移住まで時空を超えた6つの物語が分解され無数のピースとなって入れ替わり立ち替わり進んでゆく。
一見脈略のない話だが輪廻転生なのだろうか身体のどこかに不思議なほうき星のあざを持っている主人公たちが、時代の不条理に抗して叫び声をあげる点では筋が通って見えてくるから不思議だ。よくもまあこんな奇想天外な話を原作者デビッド・ミッチェルは考えついたと感心する。
トムハンクスやハルベリー他豪華出演陣も人種性別を超えて6役、7役こなす奮闘ぶり、さぞかし役者冥利につきることでしょう。幕の内弁当のようなと言いたいがそれぞれがメインディッシュでもおかしくない話ばかり、さすがに3時間近い長尺ですが楽しめました。良く言えば話題作へのオマージュなのでしょうがなんとなく既視感が拭えないところはご愛嬌でしょう。
6つの時代、一貫するもの
この映画は、6つの時代の6つの物語をバラバラにして流している。1つずつ、物語を順番に語っていくのではない。1つの物語の途中で別の物語に移り、そのまた途中で別の物語へと移る。(クリストファー・ノーランほどカッチリと拘ってはいないが、『インセプション』の後半をイメージすればいいかも知れない。)そうして1-2-3-4-5-6-1-2-3-……というようようなイメージで物語は終盤へ向かっていく。
6つの時代。
1. 1849年
2. 1931年
3. 1973年
4. 2012年
5. 2144年
6. 文明崩壊から数百年後(Wikipediaによれば2321年)
1,2の主役はイギリス人だ。1は大西洋上を航海する船。2はイギリス本土。3の舞台はアメリカに移り、原発事故の危機をめぐるスキャンダルが描かれる。4はイギリスに戻る。
5は飛んで未来のソウル。(何で韓国へ飛ぶのかわからないが。しかもメイクアップ上の危険性までおかして。)
6は、原始的な生活を送るどこかの島ー。
★1と6を比較した時に気がつくのは、「白人と黒人の立場が逆転している」ということ。1における黒人の扱いは、アメリカにおける奴隷解放宣言(1863年。南北戦争中、リンカーンによる)前。白人に対し、黒人は下位に置かれ、白人>黒人という明確な序列が当然視されていた時代のことだ。(イギリスとアメリカにおける奴隷の扱いにかんする違いは定かではないが、観客のメイン層はアメリカ人として意識されているから、アメリカ人に対して「奴隷解放宣言前だな」と気づかせればそれでよい)
一方、文明崩壊後の世界では、白人達が原始的な生活を送り、ネイティブアメリカンを彷彿とさせるような典型的な野蛮族(映画に登場しがちな、ステレオタイプな蛮族)に狩られる弱者となっている一方で、黒人達は旧文明の技術を保持し、高貴で上流の暮らしを送っている。
1→6のあいだに、白人と黒人との立場がすっかり逆転し、黒人>白人(しかも6の黒人は、白人を虐げることなく、洗練されている)という生活レベルにかんしての逆転が生じているのだ。(文明崩壊のさなか、なぜ・どのようにこうした人種のふるいわけが生じたのかは気にしない)
・・・
この映画が語る6つの物語に一貫するのは、「弱者救済」「因果応報」「輪廻転生」「魂の一貫性」とでも言うべきものごとだろうか。
1で虐げられていた黒人が、6では優位に立っている。これは弱者救済と呼ばれるべきだろうか。
他のストーリーを各々見ていくと、2は(いわゆる)同性愛者の主人公の悲劇。彼が明確に救済された描写はないが、とりあえず弱者を主人公に据えたことだけは確認しておく。(そして彼は、後世に残る偉大な作品を残したとされている)
3の主人公は老人。弱者は弱者。うーむ。癒しパートではあるが、ネタがなくて補挿されたようなテーマだ。
4は原発事故をめぐるスキャンダルだが、黒人を主役に据え、巨大企業と権力に立ち向かう弱き個人をテーマにしている。
5の主人公は、クローン人間。『ブレードランナー2049』に登場するようなアンドロイドをイメージすればいい。彼らは人間間の貧富の差を解決するため、「より下位」の存在として作り置かれた。現実に社会的課題となっている人工知能の導入を、クローン人間に置き換えればよい。これは明確に弱者であるし、切に迫った問題と言える。
6の主人公は、その時代における弱者だ。1においては優位な白人であるが、文明崩壊後は最下層に置かれる。
以上のように、各々の時代に「弱者」を配した『クラウド・アトラス』は、その時代において報われなかったものには後の時代に報いを与える。その時代において弱者を虐げている人間には、後の時代において罰を与えている。こういう「因果応報」のルールが(ゆるく)適用された。
それを実現するのに、「転生」というシステムを導入。6つの物語は各々時代が異なるが、異なる人物群を、同じ演者群によって演じさせ、「転生」をイメージさせた。そして、前世で悪行を働いた人物を堕とし、前世における弱者に報いを与えた。
悪しき魂を有する人物は一貫して悪しく、高潔な魂を有する人物は一貫して善い。(手塚治虫『火の鳥』を連想させるシステムだ)
のだが、トム・ハンクス演じる人物だけは、時代を通じて善行と欲望の誘惑とのあいだを彷徨っている。善悪のあいだで揺れる彼の終末がどのように導かれるか、ということが、1つの注目ポイントだ。
また、ハル・ベリー演じる登場人物を見ると、(1931年はさておき)1973年と2321年における勇敢さに「魂の高潔さ」の一貫性を感じる。(またその高潔さゆえに「アセンション」したのだろうか、という考えにも及ぶ)
1849年において奴隷救済の志を抱く高潔なカップル2人が、2144年においても結ばれ、共に奴隷解放のため立ち上がるという点(オチ)も面白い。(ただしメイクアップのわかりにくさは、多くの人々によって批判に晒されているであろうことが想像できる通りに、難点だ。もったいない。舞台設定に関する製作秘話的なものの公開が求められる。)
対してヒューゴ・ヴィーウィングは1849年、1973年、2012年、2144年と一貫して権力側の立場にあって弱いものを虐げる人間として登場する。(ウォシャウスキー姉妹監督『マトリックス』、エージェント・スミスよろしく)(なんで『ロード・オブ・ザ・リング』のエルロンドと、まったく性格の違う配役なんだろうか)
ヒュー・グラント演ずる人物も、一貫して強欲で下衆な俗物だ。
うーん
時代も設定も関係の無いバラバラの幾つもの話か淡々と進んで行く前半
後半から話がようやく繋がってくるんだけど個人的には見終わってどうなんだろ?って感想
各ストーリーの役を有名な俳優がそれぞれが複数演じてるのですがそのせいでそれぞれの話がどこ繋がるんだ?と余計なことを考えてしまい頭が混乱しました
ストーリー別に全く別々の俳優が演じたほうがストレートに面白かったと思います
二回目からの鑑賞ではまた感想が変わるとは思いますが最初の一回目ではこんな感じです
reincarnation
500年余りの壮大な物語。
難しいけど、凄い… 6つの話が重奏曲のように、最後は一つの大河ドラマになります。愛は時代を超えるのかな。
ひとつひとつの小さな行いも、ドミノのように次へのエネルギーとなり、未来の大きな流れを作る…のですね。
役者さん達の演技と特殊メイクが面白いです。やはりHanksは素晴らしい…特に作家Dermot役!
例のbirthmarkですが、各物語の主人公が持っています。でも1971年のLuisaと2012年(に小説では65歳)のTimothyはかぶっています…。ここは原作とは違っているようで、必ずしも輪廻ではないですね。
以下要約quotes;
"By each crime and every kindness, we birth our future."
"All boundaries are conventions, waiting to be transcended. One may transcend any convention, if only one can first conceive of doing so."
"My life extends far beyond the limitations of me."
"What is any ocean, but a multitude of drops."
長い…
集中力のない自分にとってこの映画は長すぎました…。
スタッフロールまで見て気づきましたがこれは輪廻転生をうたった話なんですね。ぼんやり見ていたせいで同じ俳優が演じていた複数の役を、肉親か成長した姿か何かと勘違いしてしまいました。
でも輪廻転生というテーマを知った上でこの映画を見返してみると、前の世代や次の世代との繋がりに気づけて面白かったです。
体力をつけてからもっかい観ようかな…
壮大な六重奏…こんな映画初めて見た!
なるほどみなさんのレビュー通り見て損はしません。
こんな映画初めて見た!
本当に色々な教訓が詰められた作品でした。
6つの時代が交錯しながら進むので、飽きることなく最後まで壮大な物語を息を呑みながら見ました。
拙い言葉ながらまとめると人間同じ過ちを犯しながら生きるのは過去も現在も、もしかしたら未来も変わらないのだろうと。そしてその中でただ少しだけでも変化を起こしながら生きていくのも人間だと。そんなメッセージを感じた気がします。
現在の時間軸にあたる話が一番平和なのもなんとも暗示的です。原発、消費社会への問題提起も巧妙に仕組まれていたように思います。
あと驚いたのは美術的な面です。まず俳優さん達のメイク!誰が誰だか一回見ただけではわかりません。(でも色々な時代に色々な役柄として出ながらもどこか共通点があるように思えるのはわたしだけでしょうか…?)それぞれの世界も色濃くてそれだけで一本の映画がありそうな世界観。思わず入り込みました!
ただ、セリフも印象に残るものが多かったのですがいかんせん字幕で追ってるだけでは理解しきれない部分も。原作の小説も読むとより理解できるのかな。
ともろもろ語りましたがとにかく面白かったし感動したのです。はい。もう一度見ます。
圧巻の映画でした
マトリックスの監督と聞いて見てみようと思いました。
まったくした調べをしてない状況でみたので、6つの話が進行するって事を映画を見ながら知りました。
最初172分って書いてあって長いなと思いましたが、見てみると圧巻の内容でした、全く次の展開が想像出来なかったので、どうなるのか楽しみで全然長く感じました。2時間映画と同じくらいでした。
やっぱりこの監督の姉弟は素晴らしいですね、マトリックスを見た時も衝撃的でしたが、これも凄かったです。
一つ一つの話が丁寧でかつ細かく、テンポよくて素晴らしかったです。
映像もびっくりするくらい綺麗でした。
映画館で見なかったことを後悔しています。
マイノリティ万歳、だが世界は…?
ウォシャウスキー兄が性転換したことを受けてこの作品をよく考えると、 自ずと作品の言いたいことは分かると思われる。
つまり、マイノリティや虐げられている者へのエールが即ちこの作品の持つ意味なのだ。
確かに劇中では黒人奴隷やクローン人間(奴隷的に扱われる)、老人、同性愛者など弱者やマイノリティを通して魂の成長を描き出している。
この点 は原作脚本の良さであり、映画としても評価できる部分だ。
だが作品が終盤に向かうと、観客に対してマイノリティへの同情を促していた作品自体が大きな破綻を迎える事となる。
マイノリティ達が声高に権利を主張し自らの自由を求めて戦った結果、地球は荒廃し、文明は衰退し、多くの人々が命を落とし、人類はその数を減少させていく。
この作品では「マイノリティが自由を求めれば円熟した文化は斜陽へと向かう」と説いているのである(奇しくも作中では叛乱の火種となった朝鮮半島が消滅したという下りすらある)。
魂の成長大いに結構である。だがそれは公の利益に資するものでなければ人としての成長とは到底言い難い、ということなのだ。
だが、この映画はこの作品が抱えるメッセージを真に映し出していない。
映画後半では人類の斜陽をあたかも美談のようなもので誤魔化すようにして描いており、到底それは容認されるべきではないだろう。
原作のもつ冗長さ、退屈さを映像化にあたって拭えなかったことを加味すると、凡作に及ばないと評価せざるを得ないだろう。
三時間を無駄にする勇気のある方以外は視聴を避けることをお勧めする。
トム・ハンクスお見事
「特殊メイク」「ひとり6役」「次元を超えた時代設定」
何をとっても新しいこの映画の中で、
名優トム・ハンクスは、その素晴らしさを堂々と披露している。
この映画のテーマの中に「輪廻転生」という仏教的なものがあるが、
その他に、観る人によって様々なテーマを感じさせる奥深い作品である。
時代設定に沿って、どの地域での出来事かを明確に提示しているが、
そのような枠にとらわれることのない想像力が湧いて止まらない。
特殊メイクで不細工に、また凶暴に変身させているにもかかわらず、
トムのハンサムぶりは、隠しきれない。いつも彼は新鮮で卓越している。
ひとつの作品で何役もこなしているのに、まったく違和感を感じない。
並はずれた演技力には、見る人すべてが驚嘆させられたと思う。
1度観たら必ずまた観たくなる、超大作だ。
エンドロールでの特殊メイクの種明かしには、ビックリ!
ベスト
私にとっては今のところベスト。
主人公、登場人物が多いということが理由かもしれないが「あぁ、これは私だ」と思えるキャラクターが2~3人居たならば話に感情を投影せずにはいられないだろう。
私は見たことがないが平田オリザ氏の演劇は複数の人が同時に演じ、同時にセリフを喋るらしい。それが自然な日常なのだからと。見ている方は面喰う。誰が主役で誰の話を注意して聞けばよいのかと混乱する。しかし集中するのをやめて、全体を考えずに見てみると自然に情報が収集出来るらしいのだ。
この映画もそういった映画。
考えていたら置いていかれる。感じた方が早い。
私はたまたまそれが出来て、最高に泣けた。
「次の人生できみを待つ」
う~~~ん…………
輪廻って、日本の人はみんな信じてるから、っていうより、生まれ変わるって、いう概念って、日本の文化っていうか・・・・アイデンティティーの一つっていうか・・・・・
つまり、生まれ変わって、前世で果たせなかった事を果たしていくっていう・・・
そこに、西洋人は、神秘を感じるんだろうけど・・・・
つまり、そこの神秘さだけを描きたかったっていう作品だなって思った。
トム・ハンクスだから、期待したんですけど・・・・
期待が大きすぎました。
支配と被支配からの脱出 ─
弱肉強食の序列に従い、強い者が弱い者を利用する究極の形として、過去から未来にかけて‘共喰い’(食人)がキーワードになっています。─ 現代パートの中では種明かしとして、元ネタとなったSF「ソイレント・グリーン」が台詞で触れられています。
また、文明の逆転劇として、白人から有色人種へと支配層が移り変わる因果応報が描かれています。
西洋による世界支配は将来、その支配権をアジア(ネオ・ソウル)に譲りますが、遠い未来においては、支配階級から転落した白人が、大昔に蛮族と見做していた食人族にまで自分達が成り果てます。 原子力を失う危機を回避して、核融合にまで発展させた船を操るのは、かつて奴隷として白人に服従を強いられ、水夫としても乗り組んだ有色人種たちです。
彗星の痣で運命が予見されていた遠く移民先の星で、地球の話しに爛々と目を輝かせて聴き入るのは、繰り返されて来た 地球上の支配と被支配が応酬する輪廻転生から解放された子供達です。
エンドロールだけは見逃しちゃいけない作品
終演が24:50というのがまずかったのかな?
同じような話を掘り下げもせず、錯綜させていくという手法にどうもついていけなかった。字幕の量が多すぎて画面に集中できない。
SFにジーターという作家がいて、実験的作品をものにしていたが、3か4層構造だった。しかも層ごとにことなる書体、文体を用い、読者の混乱をさけていた。
この作品を真に理解しようというなら、7泊8日100円レンタルを待つべきだろう。Br版も出るんじゃないかな?
6重奏の楽しみ
久々に観た映画。こんがらがった6色の糸がなかなかほどけずに終盤まで。むりにほどこうとせずに、その絡みかたを楽しむくらいの姿勢でちょうどよかった。(という意味では、いくら細かく書いてもネタバレにはならないのでは、という変な安心感がある)
各所に(別人として)登場する主要キャストのとても人間的な演技力。急にどーんと見せてくれる美しい映像(冒頭の海岸、中盤のネオソウル、終盤の割れる花瓶が美しかった)、エンドロール前のキャスト紹介ではすっきりと驚かせてくれた。糸はこんがらがったままだけれど、実は相当よくできた名作なのでは、と思わせてくれる感覚で楽しめた。
■ 6重奏
序盤から、異なる時代の物語がこんがらがったまま断続的に描かれる。主要キャスト(トム・ハンクス、ハル・ベリー、ヒュー・グラントなど)がそれぞれの時代に異なる人物として出てくる。時代の数は数えてみると6つで、そのうちcloud atlas sextet(クラウドアトラス六重奏)という曲が登場して全編の主題曲のように流れ、ああ6つの舞台と何か関係があるんだろうな、と察知させてくれる。いわば1人6役がたくさんいる感じだ。
しかし「あれとこれがそんな風につながっているのか〜」とはなかなか納得させてくれない。6役の意味もあるのだろうけれど、なかなかつかめない。糸はこんがらがったまま。ただ、時代の転換部分の描き方が、びっくりさせてくれるくらいうまい。火を使うシーンや、ドアを開けるシーンなど、自然な転換で見せてくれたので助かった。この切り替えが変だと、ただでさえややこしい展開に輪をかけるストレスになっていたかも。なぜ6つなのかは未だにわからない。たぶんたまたまだけれど、六道輪廻の六と関係あるとしたらちょっとびっくり。
■ 信仰が描かれるけど宗教色がない
いくつかの時代では、預言や信仰をとりあげている。しかし(絶対性な存在としての)神さまについては、不思議なくらいノータッチ。よくある無神論とも少し違って、人間を信じる、ということなんだろう。宗教色がほとんどない、、という点でも、ほかの作品とは一線を引いた世界感が出ていたなと思う。
奴隷制度、同性愛、老人介護、人種、善意をけなす者、身分のヒエラルキー、といわゆるマイノリティを意識させてくれるのだけれど、これが主題ではなさそうだ。それよりも多くの時間を使っていたのは、どの時代も、「愛するものを守る」「自分でよく考えて、守るべきことを大切に」ということを貫き通した人々が美しく描かれていた。きっとこれなんだろうな。もう1回、2回と観れば絡まった糸はほどけてくると思う。
パンフレットには「いま、"人生の謎"が解けようとしている」とある。まあそうなのかもしれないけれど、、PRに相当悩んだ感じが出ている。「6つの物語」というキーワードを入れたかったはずだけれど、もしかしたら製作側がNGを出したのかもしれない(単なる推測)安定のハル・ベリーさん、ソンミ役のペ・ドゥナさんがかわいかった。
損した~、、、
理解し難いモノを高評価で称える、日本人の方たちの感性が理解不能。
監督は性転換して、科学を無視した内容に僕はついて行けづ。
因みに僕の周囲の人たちからは、エンディングはジャッキーの英語かよ、、、
と、愚痴が聞こえて来ました。
壮大なラブロマンスイイネ♪d('∀'o)
『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー兄弟・・・もとい「姉弟」の最新作と言うことで、またマトリックスに負けず劣らずの「才気走った」スタンスの映画だな~という印象(;^ω^)
国と時代を超えて、太古の昔から現代、さらに未来までを行き来する壮大なスケールは、予告編を見た限りでは手塚治虫の『火の鳥』、楳図かずおの『イアラ』、石ノ森章太郎の『サイボーグ009』、諸星大二郎の『ヤマタイカ』、小説だと光瀬龍の『百億の昼と千億の夜』などを彷彿とさせる雰囲気で、これを1本の映画にどうまとめるのかかなり気になってた(・∀・)ウン!!
そしていざ観に行ってみたら・・・
次から次へと国と時代が入れ替わるものの、移行がかなりスムーズかつ分かりやすいようになってて、全然混乱もしないc(´ω`o)ォヶ
1人何役もこなすけど、誰がどの役なのかは特殊メイクや衣装で全然分からない部分もあるけど、終わった後丁寧にちゃんと観客に提示してるから「ああ~あの役はあの役者だったのか~(。´゚ェ゚)。´_ _)ゥン」と分かるし、とにかく全編に割って壮大かつ長い映画だけど親切な作りになってる。
だから3時間近い長い映画だけど、全然その長さを感じさせないし、観客を飽きさせない出来になってる(・∀・)イイ!!
SFあり、ホラーあり、アクションあり、特撮ありと・・・とにかく古今東西のハリウッド超大作を1つにまとめたような映画になってるのが、色んな映画のファン層に受け入れられやすい作りになってると思う(゚∀゚)アヒャ
そして実は非常~~~~~~~~~~にシンプルな話なのも(・∀・)イイ!!
一言で言えば
「国と時代を超えたラブロマンス」
というところかなと(゚Д゚)
まずトム・ハンクス扮する年取った部族の長老みたいな人物が話す回顧録?みたいなところから映画が始まるけど、実はこの前近代的、古代的な設定が一番新しい未来という設定なのもΣd(゚∀゚d)イカス!
簡単な流れはこんな感じ(○ ̄∀ ̄)ノぁぃ
1849年、医者のグースは奴隷売買の契約を終えたユーイングと一緒にアメリカへに帰る船に乗ってたが、船底の船室でユーイングは、脱走して密航していた奴隷に助けを求められる。
グースはユーイングを亡き者にしようと付け狙ってて、病気にかかったユーイングに毒を盛って殺そうとするが、助けた奴隷は恩義に感じてそれを阻止する。
この船の雰囲気は『アミスタッド』『パイカレ』『ウォーターワールド』を彷彿とさせるもんがありますな(・∀・)ウン!!
1936年、ユーイングの航海日記読んでる音楽家フロビシャーは、交響曲「クラウドアトラス六重奏」を完成させたが、往年の大作曲家のエアーズに盗作されそうになって憤慨して銃で撃ち殺してしまう。
その後、ホモの恋人シックススミスに遺書を書き、拳銃自殺をする。
このアパートの雰囲気は『レオン』にちょっと似てるし、シックススミスがユーイングを探しに来る教会は『ダ・ヴィンチ・コード』を思い出す感じ。
その37年後に物理学者になったシックススミスは、原発事故を引き起こして石油の利権を守ろうとするフックスを告発するため、偶然知り合ったジャーナリストのレイに報告書を託す。
例は殺し屋に殺されかかるも、何とか生き延びて告発に成功する。
レイが車に乗った状態で、橋の上から突き落とされる映像は『インセプション』の第1階層の雰囲気と少し被る(゚∀゚)アヒャ
さらに2012年のロンドン。小説家のダーモットがパーティの真っ最中で仲の悪い評論家を突き落して殺してしまい、その酷評された小説が事件の影響でカルト的人気となる。
そのダーモットの担当編集者のキャベンデッシュは、この本が売れたおかげで大儲けするが、獄中のダーモットから命令された本人の弟に脅されて兄貴に助けを求める。
しかし普段からキャベンディッシュは放蕩三昧で。兄貴はこれ幸いと老人介護施設に監禁同様に入院させられる。
そこから怒涛の脱出劇が始まる(・∀・)イイ!!
そして今度は2144年。全体主義国家のネオソウルという場所。
人間は遺伝子操作でクローンを作って労働にこき使っていた。
そのクローンの1人のソンミ451は、革命家のチャンに救出されて生まれて初めて外界に足を踏み入れる。
見受けされて自由になったと思ってた他のクローンも、実は殺されて他のクローンの栄養源になってた事実を知り、レジスタンスを率いて戦うことになる。
町の雰囲気は『ブレードランナー』っぽいし、アジア系の店が連なってる様子はリメイク版『トータル・リコール』みたいだし、カーチェイスのシーンは『マイノリティ・リポート』に似てるな~(^O^)
全体的にこの時代はフィリップ・K・ディック的SF世界かなと思う(゚д゚)イーヨイイヨー
そしてさらに文明の崩壊した未来。
『ダークナイト』のジョーカーみたいなメイクをした凶悪な人食い人種に怯えながらも、遥か昔世界を救ったという女神のソンミを崇める部族の話になる。
その部族の1人のザックリーは、心の闇の部分であるオールド・ジョージーに悩まされ続けていて、襲われた仲間を見殺しにしてしまう。
この設定はメル・ギブソン監督の『パッション』のイエスの描写にすごく似てるし、悪魔の衣装は『コンスタンティン』とそっくり( ・∀・)アヒャ
ある日、科学文明を維持した惑星からメロニムという女が島に来て「悪魔の山」と呼ばれる人々が恐れて近づかない遺跡へのガイドを要請するが、カサゴの毒に侵されて瀕死の重体の姪を助けるのと引き換えにガイドを引き受けることになる。
そこは実は太古の文明の遺物が眠ってる場所で、しかも地球は放射能に汚染されているという設定も、放射能が原因で文明は衰退したということを暗に示してるような気もして、今となってはとても対岸の火事と言うか単なる映画の話とも思えないガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル
山の上の遺跡にたどり着いて、ソンミの真実を知る。
最初はオールドジョーの言葉通りその真実を信じようとはしなかったけど、「あの女を殺せ」とそそのかされるも、寸前でそれを思いとどまる。
その間村では人食い人種が大挙して押し寄せてきて、同胞が皆殺しにされちまって、寝てる敵を「寝首をかくな」という予言に逆らって寝首をかいて殺してしまう(lll゚Д゚)ヒイィィィ!!
それまでは族長の「橋の下に隠れろ」とか「ロープを離すな」という予言に従って命を取り留めてきたものの、今回は寝首をかいたことで仲間の敵を討とうとする他の人食い人種に襲われて万事休すか???
と思いきや・・・
メロニムが助けに入って命を取り留める。
敵を全滅させて、ザックリーと姪はメロニムの船に乗って、メロニムの国に行くことにする。
どうやら悪魔の山で助けを呼んでたようで
「本当に空から助けてくれると思っているのか?ノミほどの希望しかないぞ」
「ノミはしぶといわよ」
イイネ♪d('∀'o)
さらにそれから何十年か経った後、年を取ったザックリーが子供に聞かせてた昔話を終わりにするシーンに。
ザックリーは子どもに「地球はどれ?」と聞かれ「あの青くてキラキラ光る星だよ」と言いました。
つまり無事助けが来て、別の惑星に行ったわけですなo(`・д・´)o ウン!!
ザックリーが「おばあちゃん(メロニム)は私に訪れた奇跡だよ」と言い、そして夜空にほうき星が流れて幕。
主要登場人物には『南総里見八犬伝』とか『ジョジョの奇妙な冒険』よろしく体のどこかにほうき星のあざがある。
それぞれの役者が演じてるキャラは、みんな生まれ変わりであることを意味してて、時空を超えた絆があるということですな(゚∀゚)アヒャ
仏教的な「輪廻転生」と言うか、ニーチェ的な「永劫回帰」と言うか、キリスト教的な世界観とは一線を画した、一言で言えば「国と時代を超えたラブロマンス」ですな(≧∇≦)b
つうかまさに『火の鳥』『イアラ』『ヤマタイカ』だろ(。_。(゚ω゚(。_。(゚ω゚(。_。(゚ω゚(。_。(゚ω゚ )スペシャルウン
普通だったらこれだけ色んな国とか時代をあっちこっちするのに全然混乱しないし、むしろ分かり易いというのが見事と言う他ないですな(=´∀`ノノ゙☆パチパチパチ
そして色んな役者が1人何役も特殊メイクとかCGを駆使しして演じきれてる
のが凄いし、どう観ても何人かは不自然な顔つきだったりするのに、それをうまく成立させちゃってるのもΣ(o゚д゚oノ)ノ凄ッ!
とにかくこの映画は長く語り継がれるだろうし、ありえない設定のありえない出来栄えの大傑作ですよ!!!!
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