「魂の回帰」クラウド アトラス 白桜さんの映画レビュー(感想・評価)
魂の回帰
壮大で色々詰め込み過ぎたせいか、理論や理屈が先行して伝わりにくくなっている。
映像はとても美しく綺麗なので、それで誤魔化されそうですが、感動はしませんでした。
魂の回帰、生まれ変わってまた巡り会う。一見すると壮大で難しく思えますが、とても繊細で精神的なテーマです。
難しい理論で展開するより、もっと人物同士の繋がりを深く描いたほうが良かったでしょう。
個人的な感覚ですが、あれだけ壮麗な映像と贅沢なキャストで、魂の回帰をテーマにした作品にしては、伝わってくるものは殆ど無く、『言いたいことは分かるけど、何故か薄っぺらい』という感想しか残りませんでした。
こうしたテーマに関してはやはり日本人のみぎに出るものはいないかと思えます。
日本人の精神性は突き詰めて研ぎ澄ましたものがあり、こうした魂の回帰を一番本能で理解できるのではないでしょうか。
生まれ変わり、また巡り会う…これを描いた作品では、日渡早紀の『 ぼくの地球を守って』、里中満智子の『海のオーロラ』があります。
上記二作品は漫画ですが、魂の回帰についてクラウドアトラスとは比べ物にならないほど圧倒的な描写で解りやすく、遥かに感情移入できます。
また漫画が原作であるドラマ『 JIN-仁-』 も時代を越えた繋がりを描いた名作です。
正直、クラウドアトラスはこれら三作品の足元に及ばないと感じます。
観ても損になるほどではないですが、映画館で三時間ほどの長時間をじっと我慢しているよりはDVDで観たほうがいいでしょう。
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