夏の終りのレビュー・感想・評価
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影と、光と。
へえ、こういうのを「奔放な女」というのか。ちょっと意外な気がした。物語前半こそ、彼女は余裕綽々で、愉しげに二人の男の間を揺れ動く。長年関係を続けてきた妻子ある年上の男•慎吾と、かつて家族を捨てるほどに焦がれた年下の男•涼太と。年上の男を揺さぶり、年下の男の揺さぶりを突き放す。当然、そんな蜜月は長続きしない。相手は己れとは違う意思を持つ生き物だ。いつしか彼女もずぶずぶと関係のもつれに身を落とし、もがけばもがくほど動きが取れなくなっていく。
格子戸から覗く慎吾の片目、食べかけのまま涼太に打ち捨てられる桃…等々、どきりとさせられる画は枚挙にいとまがない。とはいえ、何と言っても満島ひかり演じるヒロイン•知子の佇まいが印象深い。冒頭でいきなりコロッケ、続いてビスケット、蜜柑…彼女はとにかくよく食べる。たいして栄養になりそうもないものを、豪快に摘み、わしわしと咀嚼する。酒を飲み、煙草をふかすのも堂々としたもの。男たちとの関係と同様に、彼女は後ろめたさを持たない。自分に正直に、求めるままに。ときにはつらぬくのが難しくても、そんな姿勢を自ら確かめるように、力強く食べ、飲み、ふかすのだ。
そして、型染め。迷いのない、力強い手つきで鮮やかに草花を彫り出し、一心不乱に染め上げる。後半、藍の染色で手先を青くしたままの彼女は、追い詰められながらも奈落の直前で踏みとどまる。生身の男と、そして自分の欲望と、各々へ対峙する姿にぞくりとした。
陰影で始まった物語は、輝かしい光に包まれ幕を閉じる。ちょっと唐突で、戸惑いを感じるほどに。恋愛は彼女の一部に過ぎない。弄びもせず、弄ばれもせず。激動を経て平穏に至り、さらなる高みに至った彼女は、どきりとするほど美しい。
夏の終りに観ました
セミの声はまだ聞こえるけれど、
ジリジリと照りつけるような暑い日は減り、
少し風も涼しく感じるようになってきた9月。
タイトルに惹かれて鑑賞。
瀬戸内寂聴さんの書かれた原作をもとに制作された
本作ですが、まぁ内容は特別変わったものでもなく。
文芸作品だなぁーと言った感じ。
絵柄はとても美しく、日本の夏をとても綺麗に
美しく背景として描かれている。
主人公知子を満島ひかりが演じていて、着物姿が
とてもお似合い。
キャラクターとしては、よくありそうな感じ。
男がいないと生きていけない子であるのは間違いな
いけど、ラストでどうなったかなーと。
不倫や浮気を受け入れたり応援する気は無いけれど、
人を好きになるタイミングばっかりは決められない
と思っているので、知子を全く理解できないとは
言い難い。
ただ、あっちもこっちもは良くないなと。
こっちの気を引きたいから、自分に好意を寄せる
元彼氏(昔、自分の家族を捨ててまで駆け落ちした
相手)を利用する気持ちも分からなくはない。
そもそも自分を好きということは、自分の方が優位
にあると感じるもんだと私は思う。
彼(綾野剛)がその状態に苛々するのも分かるし、
姿を消したのを観てよしよしよくやったとも思った。
この映画の中で一番おいこら!と言いたかったのは
もちろーん、小杉(小林薫)。
両方手に入れたいというか、手放せない。
美味しいとこ取りね。まぁ、全くわからないとは
言わないけれど、、、第三者からみれば、正直
この関係は面白すぎる。
夏の終りに大人の映画。
これ10代で観てたらもっと嫌悪感剥き出しで
すごい拒否反応示したに違いないな私は。
大人になって、世の中にはどうしようもできない
というより、自分勝手な人がたくさんいることを
知ってから鑑賞できてよかった。
世の中の不倫や浮気してる方々。
どうか、自分の本妻、夫、本命の彼女彼氏にその事
を知られたり、悟られたりせぬようお過ごしを。
瀬戸内さんの過去の恋愛話、見たいかな…?
瀬戸内寂聴が出家前の体験談を基にした小説の映画化。
妻子ある年上男性と年下男性の間で揺れる女性を描く。
今は出家して高尚な身だが、瀬戸内さん、普通に不倫や三角関係してたんやな…。
作品の方は満島ひかり、小林薫、綾野剛ら実力派の演技光る、しっとりタイプの大人の恋愛ドラマ。
情感ある作風は悪くないが、とにかく淡々とした語り口で、熊切監督にしては物足りなさも感じる。
それに、不倫や三角関係といった話なのでそもそも感情移入出来るか否か、瀬戸内寂聴の過去の恋愛話見せられても…。
良く言えば、波乱に満ちた一人の女の生きざま。
流されながらも、愛を追い求め、感情を爆発させたとあるシーンには女の強かさを感じた。
老齢の僧の身でありながらも、小説を書いたり新しい事に挑戦したり、貪欲な兆しはあった。
映像がとても美しくひかりさんの着物姿も美しい
この映画は知子の自立の物語ですね。家族を捨てて年下の男と駆け落ちしてきたもののすぐにうまくいかなくなり、自分を見失っていたところに出会った売れない小説家。お互いに依存しあい、生ぬるい愛人関係を続けるものの、やがて染色家としての仕事も軌道にのり、一人の女性として知子がその関係から自立していく。そんな姿にすがすがしさを感じるのです。
とはいえ長い間「出かける時はバックの中身を整えてくれた」保護者のような愛人との別れはどこか切なくもあり、その切なさが「夏の終わり」というどこか寂しい季節としっくりくるのです。
この映画では夏の終わりに漂う、切ない雰囲気を美しい映像と素晴らしいキャストの演技で見事にその世界観を構成していたと思います。
ひかりさんは知子を演じるには少し若いかな?とおもいつつも、やはりこの人しかいないと思わせる存在感は流石でした。
とにかく着物姿が美しいかったです。
映画の中では「終わり」がクローズアップされていましたが、終わりはまた新しい始まりを予感させます。
そしてそれは、希望でもあります。その希望がどんなものかはっきりはしないものの、確かにそこには光がある、そんな余韻を残して終わります。
人は誰かがそばにいてくれないと生きていけない弱い生き物かもしれません。そして多くの人は愛や家族といった絆は尊いものという幻想のもとに生きています。
確かに、人とのかかわりの中で心は癒されますが、同時に濃密な関係にがんじがらめになると、個としての自分は死んでいきます。
そんな時、自立していくこと、一人で歩く人生にk希望の光を感じるかもしれません。でもその希望の光は真夏明るい太陽のような健全な光ではなく、夏の終わりの、秋にさしかかるやわらかな夕日の光にも似ている、そんな、心地よく、少し切ない感傷的な気持ちになる映画でした。
美しい。色気。 満島ひかりが美しいこと美しいこと。見とれる。 やは...
美しい。色気。
満島ひかりが美しいこと美しいこと。見とれる。
やはり満島の演技に最初から引き込まれた。あの感情の爆発、さすが。
やってる事は満島も小林薫も最低だけど、人のこと言えないので共感出来てしまった。特に満島ひかりの、満たされなくてずっと苦しんでる、もがいてる感じ。何をやっても満たされないのは自分の問題だし、そう考えると涼太が言うようにとても無神経な女だ。
満島は人間のどうしょうもなさをよく描けていたと思います。
果たしてあれは愛なのか。
全体的な雰囲気としては、和。という感じでとても涼しげ。良い。日本の四季を感じる。
ストーリー的には、んーって感じ。構成が微妙で何を表現したいのかがよく分からない。役者に支えられた感。
特にラストは不可解。なぜあんなこと言われてあんなに清々しい顔をしているんだろう。再出発しようとしたばかりなのに。私にはわからん……。
私の遺書のようなもの。
以前、上映中に拝見させて頂き、感想も書いたのですが削除してしまいました。改めて私なりの感想を自分自身の為に残しておきたいと思います。
私は、母から小学5年生の時に、原作を貰い夢中で読みました。自分では、気付かなかったのですが、かなり、変わった家庭環境だったようで、この年齢で、恋愛の意味や、結婚がゴールでは、無いと悟っていました。作者である、瀬戸内さんを尊敬して生きています。特に昔の結婚は、お見合いや、政略結婚、古い歌にもあるように、悲しい感じを受けます。昔は、愛の伴わない結婚も多かったのでは、ないでしょうか?今でも、自分が悪いとは、いえ赤ちゃんが、出来たから仕方なくなど、そこに、愛がない場合もあるのでは、ないでしょうか?人を本気で、愛すれば何かを犠牲にするのは、当たり前と私は、思います。例え相手や自分に、配偶者が居ても、愛したら押さえが効かないのが、私が生きてきた上での結論です。
映画を観て、二人の男性の間で、揺れ動く主人公の人間くささに、私は、共感しました。人の考え方は、一人一人違って当たり前だと思います。
不倫だとしても本人同士でなければ、心の中は、絶対に配偶者、子供、まして他人には、解らないと思います。不倫=罪と、考えられる方々は、むしろ普通の家庭環境で、普通に育った方々で幸せでしょうが、私には、それが、つまらないとさえ感じます。今では、私の育った環境に感謝しています。普通は、体験出来ない事を沢山体験出来ました。私自身不倫経験がありますが、子供への愛情は、人一倍あり、恋愛と切り離して考えられました。不倫と言うと、汚いイメージですが、私自身は、相手との関係も、清いものだったと、自信を持って言えます。私の不倫は、親子程の歳の差がありました。余計に、子供の心は、傷付けた自覚もあります。10年を経た今、成人した子供に、親子の縁を切られましたが、受け入れて心の整理も付きました。しかし子供もまた私より家族や家庭を知らず育った為ゆえの反抗心と解りました。故に親子の縁は切れません。私には、あの不倫が無かっら今、私は、この世に、いなかったと思います。親が教えてくれなかった優しさを、教えて頂きました。言葉は、汚い印象でも、私自信には、大切で、必要な時間でした。人の生き方は、千差万別です。主人とは私の母親と同じように愛のない結婚をしてしまいました。子供がお腹にいる時から離婚だけを考えておりましたが、子供が産まれてすぐ母親が、倒れ看病と育児、仕事に追われ帰らない主人だった為、機会を逃したまま母親が、亡くなり私は心身のバランスを崩しました。ただいつも助けて下さる男性が現れたので何とか子供も育て上げました。金銭的にではなく、真夜中でも相談出来た友達がいたと言う事です。
主人は、母親が亡くなってから帰るようになりお酒を飲んでは暴れダイニングテーブルの一枚板を、素手で、壊されたり家中の物を壊され続けたり、色々な暴力を奮われました。ただ子供を守るのに精一杯でした。半ば諦めていた私に、年下の彼と出逢いがあり看病から始まった関係が何時しか男女の関係になり、それを不倫と認識出来ないまま1年間過ぎてしまいました。最後は、プロポーズされましたが、私が年齢差に負け逃げてしまいました。彼からは、生きなおす力を教えて頂きました。不倫したくて不倫をしたわけでは無いのです。不倫した自覚が無いのです。もうその彼とは、別れて10年立ちます。気持ちも想い出に変わりました。子供も成人し私の手から離れた今やっと主人と離婚して、自分自身の人生を歩こうと、決意できました。
自分が、自分として生きられる人生は、たった一度ゆえ、心のまま先を恐れることなく、もし、この先大切な人と出会えたならただ、ささやかに、支えあい生きて、ゆきたいと、改めて感じました。
作者の瀬戸内先生、感謝しています。先生に、お会いしたいです。先生?娘さんには、今もお雛様を買い続けていらっしゃいますか?娘さんのお子さんも、女の子でしたよね?私も、生きて贈れる限り息子へプレゼントし続けます。母親がしてくれて私は嬉しかったからです。値段ではなく心だと教えてくれたのは、母ですから。ただ不倫は、どんな事情があろうと子供を傷つけたのが解りました。でも、私には、必要な時間と、恋愛は感情をコントロールできないものゆえ、これ以上傷を深く出来ない為離れますが、今も気持ちは、繋がっているのが、実感出来ました。産まれてくれて、感謝してます。
普通の人生ほど、味気なくつまらない事を先生からも教えて頂きました。
また必ず観たい映画です。
愛すること。愛されること。
私の中での綾野剛祭り第2弾の作品です。
綾野剛ファンであり、ストーリー的に観たかった作品でした。
人は生涯、何人の人を愛し、愛されるのだろうかと考えさせられました。スマホなどのない昭和感も良かったです。
和装ひかりさん素敵
満島ひかりの和装が素敵でした。
あの版画もよかったなぁ…
若い頃はオジさんに惹かれる
歳をとると同い年くらいの若者が良く見える
よくある、よく聞く話です。
原作は寂聴さんなのね。
一度見てみても良い作品だと思いますよ。
特に女性向けです。男性には理解できなそう。
the日本映画...
これぞ日本の映画といった感じで、夏の蝉の鳴き声だったり雨音だったり、四季が美しく映し出されてた。
だが、内容はというと…どっちつかずの主人公の様子にちょっと苛立ちを感じてしまってた。
うん。そうゆう風に思えるのも、満島ひかりさんの演技が素晴らしかったからだろう。
地味、、満島・小林は良いね
慎吾(小林薫)、知子(満島ひかり)、涼太(綾野剛)の三角関係の話だというのは
予告編を見ていて知っていましたが、三角関係というとドロドロしたイメージがありますが
そうでもなかったです。
この手は好きか嫌いかというと嫌いな方で、ストーリーも特に面白いわけではありませんが、
それでも最後までフツーに見れたのは小林薫と満島ひかりの演技力ですね。
小林薫のセリフの独特の間の取り方や表情のつけ方は好きです。
満島ひかりも慎吾と涼太の間で揺れ動く感情や慎吾との8年の愛人関係を精算したいのに
できない葛藤をうまく表せていたと思います。
そして序盤のシーンの、知子が染物の型を取っているところ、染める作業の映像が繊細でした。
それともう一つ、愛人の知子が慎吾の家を訪ねたときに、ちょうど慎吾が縁側にいて、
格子の陰で慎吾の顔が隠れて、片目しか写っていないシーン。
監督の演出への細かいこだわりがみえました。
慎吾は妻子がありながら愛人の知子の家に通い、知子が涼太ともできていることに嫉妬の素振りすら
見せない慎吾を見て、知子を愛しているのではなくて自分の家庭以外にこの人は居場所がほしいんだな
知子は慎吾への愛はあるけど、愛人という心の隙間を埋めるために自分が寂しい時だけに涼太の気持ちを
利用して涼太に会う。
魔性の女といえばそうだし、ただの自己中女といえばそうもいえる。
とこの作品を見ながらつらつらと考えてしまいました。
この2人には共感できないけど、ああこういう人もいるだろうな、と。
涼太には多少共感できました。
50点くらいだけど小林薫と満島ひかりの演技がよかったので65点で。
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