「艶の通夜。」つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
艶の通夜。
つやのよる…という、タイトルを見た(聞いた)時点では、
どうしても年齢的に「(お)通夜」が浮かんでしまって^^;
だからきっとこれは、誰かが死ぬんだ。その夜の話だな。
なんて勝手に思い込んでいたら、なんとつやさん(名前)
だったとは。しかも色艶の「艶」だって。すごい名前だねぇ。
そして強ち間違ってなかった。ちゃんと最後には通夜が^^;
まぁ豪華女優競演の、観応えある映像力と感情表現。
ポンと投げ込まれた阿部寛の痩せ細った身体にギョロっと
ひんむかれたあの目つき。
クネクネした地層の坂道でママチャリを延々とこぎ続ける
姿を観るだけで、あ~なんかすごく行定勲っぽいと思った。
この「艶」という女性の姿は最後まで見せない(胸だけ^^;)
どんだけ凄いオンナなんだと(汗)私は最初この役やるなら
荻野目慶子だろ~と思っていたら、なんと彼女は愛人役。
しかしキョンキョンとの赤ワイン戦争!は面白すぎるので
冒頭の第一節で大いに笑える。
愛に狂うことがどれほどバカバカしくて、他人からは滑稽で、
それでいて本人には命懸け、というのがよく分かる。
阿部ちゃん演じる今の夫が、バカみたいに朝晩方々電話を
かけまくり、疎んじられ、迷惑がられ、挙句に自分の家族
(この人も捨ててきたんだねー)までを見限って、奔走する
哀れな姿に(バカバカしいと思いつつ)そうだよねぇと思う。
この松生と艶のヒステリックなほどに追いつめる(追い込む)
愛を軸として、周囲の女たちのなんて優しく大きな愛情枠。
決して面白いとか、楽しめるという内容ではないけれど、
(女優の脱ぎっぷりも絡みっぷりも大したことないしねぇ)
こういう愛情表現、それぞれの始め方終わり方、包み方?が
提示されるのは観ていて「へぇ~」と思えるし、歳をとると、
あの女はこうで、この女はそう思うわけか、と理解ができる。
自分はそういう愛し方はしないけど、なんてタカをくくっても
いやいや、自分だっていつ松生になるか分かりはしない(爆)
そんな中で特に成長したのが松生の娘(忽那汐里)だったか。
彼女がいちばんオトナで(この中ではね)母親の大きな愛情が
夫に対しても娘に対しても注がれてきたことを象徴している。
まだ理解できない「愛」の矛先を体感できた彼女は、なぜ母が
そんな矛盾の中に生きているのかを、なんとな~く掴みとる。
公式サイトには、それぞれの女が、愛を「どうする」女なのかが
提示されているので、それぞれに、なるほどと思える。
相手がどうというよりも、自分がどういう女なのかがポイント。
サイト見ついでに、ロケ先がぜんぶ大島なのかと思っていたが、
千葉県内のロケ地がかなり多かったらしい(爆)
しっかり大島らしく纏まっていたところに、また笑ってしまった。
(どうしよう、今後岸谷五朗を観ると真珠が頭をよぎるじゃないの)