シネマ歌舞伎 日高川入相花王のレビュー・感想・評価
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大人の為の人形劇
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生身の人間が操り人形に扮する。わざわざ人形使いを擁して。
玉三郎は、持ち前の流れるような所作を封じ、人形の動きを演じる。まばたきさえせず、表情も変えず。
船頭との問答の末、怒りに狂った清姫は、日高川に相入り、大蛇に化し、やがて岸に上がると花王(さくら)に脱皮する。
そこで初めて流麗な所作と満を持した面目の表情を見せる。
愛憎が浄化された境地を、嵐のあとの満開の桜に例えるスペクタクル。
清姫も船頭も、生身のヒトの重さを感じさせない無重力を滑るような身のこなし。
人間の重苦しいテーマを、あえて人形劇にこしらえる事で、軽やかに客観的に観客に相起させる、半時と短いながらも大人の為の人形劇である。
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