WXIII 機動警察パトレイバーのレビュー・感想・評価
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「私にはあの子の名前は一つだけよ」
一作目での榊の言葉、「人間の側が間違いを起こさなけりゃ機械も決して悪さをしないもんだ」。それを度々思い出させるシリーズ。
レイバーとの格闘後、自衛隊によって火炎放射器で焼かれる生物兵器。断末魔の叫びを上げるその身から剥がれ落ちる装甲、その下から豊かな乳房が露わになる。癌で亡くなったはずの少女が、確かにそこで生きて成長している証のようで、この生物を怪物と呼ぶことができなくなる。それよりも、その様子を満足気に眺める男と意志のない操り人形達、それらの方が大きな一頭の怪物に見える。
生物兵器に死んだ娘の癌細胞を埋め込むことで、娘を死を超越した存在として蘇らせた母。その行為は、最愛の娘に二度目の死を与えることになる、それも生きたまま焼き殺されるという過酷なかたちで。愚かではあるが愛情故の過ちに、これ程残酷な結末が必要なのかと恐ろしくなる。
最後、繁栄の象徴でもある東京のビル群を、大量の墓石に見立てた絵で締めくくられる。これが、この街の未来をもう少し見ていたくなったと前作の最後に言っていた柘植への回答なのだろうか。
刑事ドラマとして悪くない
パトレイバーとしては変化球だが、刑事物としてはむしろストレート
パトレイバーの世界観を借りた全く別の映画。だがパトレイバーの最高傑作と言ってもいい
まずはじめに知っておいて欲しいのは、この映画は、従来の「機動警察パトレイバー」ではない、とのこと。
実際に「これは第3のパトレイバーである」という表現がなされていたと記憶している。
はじめてこの映画を見たとき、私は、従来の特車二課の連中が大活躍する娯楽大作であることを期待した。
しかし、いつまでも、その連中は登場しないばかりか、中盤あたりに泉野明と篠原遊馬の二人がちょい役で出たのと、映画のクライマックスで登場した程度なので、そういう意味で肩透かしを喰らってしまった。つまり、初見では、最後まで見て退屈な映画に過ぎなかったのだ。
しかし、2回目の視聴で、特車二課が活躍しない、むしろ脇役であるという予備知識を持った上で視聴すると、いわゆるSF(サイバーパンク)やホラー、怪獣もの、近未来、刑事ドラマ、恋愛ものその他をすべてまとめて楽しむことができる、とてつもなく内容の濃いものであることに気がつく。
そして私が最大限評価しているポイントとして、「レイバーがほとんど出てこない」ことにある。
例えば、劇場版1作目では、「非常に高額な重機」であるレイバーがとてつもなく多く登場し破壊されてきた。が、この映画では、レイバーはそもそもほとんど登場しないばかりか、映画の最後では、工事現場でレイバーではなく普通の重機が描かれている。つまり工事現場でレイバーを活躍させるのは「非現実的」なのだ。
言い方を変えると、「よりリアリティーの高い機動警察パトレイバーの世界」が、この映画にある。
さらに、パトレイバーは、1作目2作目共に、「押井守節」という感じの、監督のクセが強く出過ぎた感があったのだが、3作目の監督は遠藤卓司という方で、全く違う方。むしろ押井守色は一切ないと言っていいのではなかろうか。実際かかわってないみたいだし。
なので、「パトレイバーの世界観を借りた全く別の映画」として、大いに楽しめる映画であると言える。
最後には苦い結末も、成熟した人生肯定の味
本作は久住、秦2人の刑事がレイバー襲撃事件の捜査を始め丹念に聞き込み等を行った結果、ある生物研究所が生物兵器の開発に加担していたのを解明していく、という刑事ものの
ストーリーがひとつの流れ。
その流れの裏側で、生物兵器の開発側がどのような人物で構成されていて、そこに個人の感傷による暴走が入り込んでいくのかを描くのが二つめの流れ。
二つの流れは交差し、前面に大人の愛のドラマや、刑事同士のいさかいを生みつつ、背景では生物兵器の化け物が次々に殺人を犯していく。
刑事たちは、研究所が化け物を作り出したことを薄々感じとる。つまり、研究所の担当者たちは犯罪の加担により有罪であると判断する。
他方、それとは別に化け物は退治しなければならない。犯罪者追及と生物兵器排除という二つの課題を、警察は背負う。
そこに登場するのが、石原一佐なる魅力的な自衛隊幹部である。
石原一佐は、この問題が自衛隊と米軍に波及することを何より恐れ、まずは研究所の所長を海外に追い出してしまう。そして化け物退治の名目の下、警察のパトレイバーを巻き込むのである。
そもそも自衛隊にもレイバー部隊があるのだから、やろうと思えば、自衛隊だけで処理できるはずなのだ。しかし、なぜか石原は「射撃はそちらの専門ですから」と警察に花を持たせるかのような言動で誤魔化す。
警察側はまんまとはめられ、化け物退治作戦にのこのこ参加する。よせばいいのに久住は、捜査で得た化け物をつり出す情報まで進んで提供するのである。石原はこれらすべてを、最もうまく活用する。
さて、化け物退治は久住が得た情報により、予定通りに進められ、無人のスタジアムにおびき寄せたうえで、何やら付録みたいに登場する太田とノアのパトレイバーが特殊開発兵器の銃弾をその
口に撃ち込んで、怪物は断末魔の叫びをあげる。
後藤がこれで一件落着と思ったところ、意外なことに自衛隊のヘリが最後に登場し、化け物を焼却してしまうのである。
彼が「これはどういうことだ?」と石原に詰問するも、石原は「シナリオが変わったんです。おたくの上は了承済み」と憎々しげに告げる。格好いいなあ。
後藤たちが不愉快そうな表情を浮かべるのは、事情を知らされていなかったからだけではない。自分たちがたった今、多数の殺人を犯した生物兵器の消去=犯罪の証拠隠滅の片棒を担がされ、ひいては殺人兵器を生み出した背後の自衛隊と米軍追及の途を自ら閉ざして
しまったからである。
石原の政治力にまんまと裏をかかれた苦さが漂うが、そんなことはしょうがない、また頑張るだけさと、最後の葬儀帰りのシーンの静謐さが、人生への肯定感を感じさせる。
何年たっても寝落ちする
10年以上ぶりに観て、当時の記憶が甦った。
これ、やっぱり、駄作だわ。
海から来た化け物を退治するってのは「ゴジラ」の劣化コピーでしかない。
そもそも警察の出る巻くではなく、自衛隊の仕事である。
なーんていうツッコミはどうでも良く、単にツマランだけ。
魅力の無い若手刑事が主役の、どーでもいい捜査の描写が眠気を誘う。
あえて意義をこじつければ、後世への影響が2つほど認められる。
1、戦闘シーンに眠くなるBGMを付けるのは、後年、庵野がエヴァに拝借しました。
2、海から来た化け物に薬物で対抗というのは、後年、庵野がシンゴジラに拝借しました。
私としては、どっちもどーでもいいです。
あれ、おっかしーな。
俺ってこんなに文章力なかったかな?
あまりにも中途半端だから、コキ卸す気力も湧かなくてこうなっちゃった。
下の中。
レイバーを狙う謎の破壊活動
外伝としてよく出来ています。
当初OVAとして外伝として発売される企画が、
映画化となり様々なトラブルに見舞われながら
なんとか無事公開、作品となったことを感謝。
ゆうき漫画版「廃棄物13号シリーズ」を
ベースとしながらもグリフォンを絡めず、
また特車二課もほとんど出てこない為、
パトレイバーじゃないと言われていたりもする。
個人的に第2小隊やレイバー出てない感は
P2と対して変わらないけどね。
ファンとしてはもっと絡ませて欲しかったけど。
話としてとても楽しめました。
演出もアニメというよりも
実写の雰囲気を感じました。
ただ、13号は原作のデザインの方が好きでした。
また技術とか言わせたら、
黄瀬作画監督はとても凄い方なんでしょうが、
P1の頃からキャラ表からかけ離れた作画が続き
その画が個人的に好きではないので、
今回キャラクターデザインで参加された
高木さんの作画で観てみたかったです。
あとレイバー音もちょっと軽い感じました。
とはいえ、映画としてよい作品だと思います。
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