映画 のび太の結婚前夜のレビュー・感想・評価

監督は『帰ってきたドラえもん』『おばあちゃんの思い出』『がんばれ!ジャイアン!!』『ぼくの生まれた日』『大きい1年生と小さな2年生』『漁港の肉子ちゃん』の渡辺歩
脚本は脚本は『おばあちゃんの思い出』『がんばれ!ジャイアン!!』『ぼくの生まれた日』の藤本信行

映画.comの渡辺渉は渡辺歩の誤表記

MVPはなんと言ってもしずかパパ
両親を想い結婚をやめると言い出す娘を諭す父
「あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね」
そんなの当たり前でしょと受け止める人はそれができてる人だし身近な人も全てそれをクリアしている高級なコミュニティで生活してるのだろう
だが世の中の多くの大人たちはグサっと胸に刺さるのだ
だからこそドラえもん好きな人は誰でも知ってるし然程興味がなくてもネット民なら知っている有名な台詞といえる
しかしそれよりも注目すべきしずかパパの長台詞がこれ

「とんでもない！
きみはぼくらに素晴らしい贈り物を残していってくれるんだよ
数え切れないほどのね
最初の贈り物はきみが生まれてきてくれたことだ
午前３時ごろだったよ
君の産声が天使のラッパみたいに聞こえた
あんな楽しい音楽はきいたことがない
病院を出たとき、かすかに東の空が白んではいたが、頭の上は、まだ一面の星空だった
こんな広い宇宙の片隅に、僕の血を受け継いだ生命が今、うまれたんだ
そう思うとむやみに感動しちゃって涙がとまらなかったよ
それからの毎日、楽しかった日、満ち足りた日々の思い出こそ、きみからの最高の贈り物だったんだよ
少しぐらい寂しくても思い出が温めてくれるさ
そんなこと気にかけなくていいんだよ」

なんて素晴らしいポエムなんだ
こんな言葉がスラスラ出てくる即興詩人が世の中にいるなんて信じられない
しずかパパは流行作家か文学部教授に違いない
教科書に載せたい声に出して読みたい日本語
産声が天使のラッパだよ
ラッパという点では似てるけどお尻のラッパとはえらい違い

しずかパパはしずかママに比べると登場回数は非常に少ない
そのうえ登場するたびに顔が全く違う
決してしずかママの男関係が賑やかだったわけではない
ただ単に藤子・F・不二雄先生が毎日毎日とても忙しくて忘れていたのだ
その点でいえばゆでたまご先生がよくやるありえないミスの数々も鳥山明先生が犯した『ドラゴンボール』の単行本背表紙のヤジロベーだってとても些細な事なんだ

原作ではたしかジャイアンやスネ夫や先生は登場しない
先生はスピーチをするらしい
飼い主と逸れた猫を海外に移住するために空港にいる飼い主に届ける野比らのエピソードはオリジナル
完全にスピードで違反だが左ハンドルだしスポーツカーだし場合が場合だし大目に見よう
この一連のやりとりは必要だったかどうか自分の中ではかなり微妙だ
念のいれようというか無用な答え合わせというか
星5にするには釈然としない部分がある

大人になったお馴染みのメンバーも声優は同じ
小原乃梨子は他の3人と違い性別が違うためか意識して太い声を出す芸の細かさと気配り
宝塚の男役や身分を隠すときのあのちゃんのような太い声にちょっと感動した

学芸会の練習を勘違いして泣き叫ぶのび太も好演
小原乃梨子さんのハイテンションな芝居好き
『ドラえもん』においてどうしても大山のぶ代ばかりが注目されがちだけど小原乃梨子の功績はかなり大きい
ドラえもんの物真似をする人はわりといるけどのび太の真似をする人は聞いたことがない
歌うジャイアンの物真似をする人さえいるのに
それだけ唯一無二の存在なのかもしれない

声の配役
ドラえもんに大山のぶ代
のび太に小原乃梨子
しずかに野村道子
ジャイアンにたてかべ和也
スネ夫に肝付兼太
出木杉に白川澄子
しずかのパパに久米明
しずかのママに松原雅子
先生に田中亮一
おばあさんに江森浩子
ドレスのスタイリストに江森浩子
タクシードライバーに中嶋聡彦
猫のみいちゃんの飼い主の高木さんに柴本浩行
高木さんの幼い娘に渡辺美佐
ホテルのフロントに渡辺美佐
となりのおばさんに水原リン

有名すぎて結末は知っていた上で今更観ました。ずっと観たかったけど如何せん近くのレンタル屋に置いてなくて、やっと観られてよかったです。
いい話ですが、知ってた情報以上の新発見みたいなことはなかったですね。大人になったしずかちゃんがお父さんを気にしてる描写は、映画演出的に表現しようとしてましたが、イマイチピンと来ず…。

しずかちゃんのパパの台詞がメイン。
このシーンだけでもみる価値がある。優しく温かく説得力がすごい。

なぜかしずかちゃんのパパというレアキャラが立つ。

テレ朝Ch／しずパパ素敵すぎ。