哀愁のサーキット
劇場公開日:1972年12月27日
解説
秒速に命をかけるプロレーサーと、芸能界に生きる女性歌手との悲恋、そこには運命のいたずらがあった……。脚本は古屋和彦、監督は脚本も執筆している「官能地帯 哀しみの女街」の村川透、撮影は「OL日記 牝猫の情事」の姫田真左久がそれぞれ担当。
1972年製作/69分/日本
配給:日活
劇場公開日:1972年12月27日
ストーリー
満田和郎はプロレーサーとして、今や、若者のアイドル的存在であった。ある日、和郎は、朝焼けに染まった渚で、歌手の榊ナオミが、自分のレコードを海へ投げ込んでいるのに出会う。翌日、知り合いの哲也から、和郎に電話がかかってきた。オートバイで勝負をして、和郎が勝てば、哲也の恋人の洋子を抱かせ、哲也が勝てぱ和郎の愛車をもらうというのである。和郎は心よく挑戦を受け、無謀のようなレースが始まった。が、結果は和郎が勝ち、意気揚楊と洋子をマンションへ連れ帰った。数日後、小さな公園で和郎はふたたびナオミに会った。二人は顔を見合せて笑った。どちからともなく二人は手を結んだ。広場、地下街、動物園、デパート、二人は、とりとめもなく歩いた。タ暮れの道を、二人を乗せた和郎のスティグレイは心地よさそうに走っていた。タ陽に映えた浜辺で、和郎は何を思ったのか、ライフル銃を持ち出すと、ナオミに握らせ「これで怒りをこめて俺を射て!」と叫んだ。彼の気持ちを計りかねて、躊躇していた彼女だったが、彼の強い語気に負け引きがねをひいた。轟音がして和郎は倒れる。しかし、それは和郎の演技だったのである。その夜、二人は渚のホテルに泊った。数日が夢のように過ぎて、二人は東京へ帰った。失踪していた彼女を芸能記者たちが、彼女に失踪時のことを聞いた。「海は女の涙じゃないかと思いました」とだけ答えるナオミ。数日後、ナオミは彼女のヒット曲となった“海は女の涙”を歌うステージののそぱで、和郎がレース事故で死んだことを知った。“海は女の涙”を唄う彼女の眼にキラリと涙が光った。