「悲劇に向かって進んでいく物語。その背景とその惨状を伝える必見の映画。」対馬丸 さよなら沖縄 M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
悲劇に向かって進んでいく物語。その背景とその惨状を伝える必見の映画。
沖縄本土復帰50周年を記念しての映画上映会で見た。
昭和19年8月21日沖縄の本土疎開学童八百余人を乗せた対馬丸が出航、そして翌22日米軍潜水艦に発見され、魚雷攻撃の末、沈没。学童の生存者はわずか五十九人。
(映画.com)から要約。
沖縄が戦場となる危機が迫っている中、軍は子どもたちの本土疎開を命令する。しかし、長年住み慣れた沖縄から離れ家族バラバラになることへの抵抗や船での航行に危険性もあることからそう簡単には子どもたちが集まらない。そこに教師が家庭訪問して説得に回る。
本土を夢見て船に乗り込む子どもたち。軍艦を要望したが貨物船になり、軍の命令で危険な水域を通っていく。護衛艦も帆走していたが、結局逃げたという。
結論が分かっており悲劇に向かって進んでいく物語。子どもたちの惨事そして家族の別れ、見ているのも心痛む。助かった子どもたちもいるが、軍の命令で口を閉ざされる。
軍というのは結局住民を守ってくれない。
現代のような特殊映像はないが優れたアニメーションで、戦争の悲惨さを伝える真面目に描かれた映画であった。事実は知っていてもそこにある家族愛、決断するに至る辛い思い、教師の使命や努力、軍の命令など、とてもソフトタッチな絵であったがよく描いていて伝わってきた。
小さな子どもたちも家族連れて参加していて、このような映画を見に来ることの大切さを教えている両親は素晴らしいと思った。
広島市安芸区民文化センター
コメントする