明日を賭ける男
劇場公開日:1958年9月1日
解説
読売新聞に連載された井上友一郎の『上と下』の映画化。「野郎と黄金」の池田一朗と「東京のバスガール」の西島大が共同脚色、「美しい庵主さん」の西河克己が監督、「踏みはずした春」の山崎善弘が撮影した。「風速40米」の川地民夫、「運河」の浅丘ルリ子、「悪魔と天使の季節」の中原早苗の他、大坂志郎・岡田眞澄らが出演。
1958年製作/98分/日本
配給:日活
劇場公開日:1958年9月1日
ストーリー
美容学校の講師・白藤守彦と生徒のルカは、密会のため旅館“伊香保”に泊っていたが、ある日、二人は、そこで買った二百万円の宝くじがくじ屋の間違いから当っているのも知らず箱根まで足を延ばした。“伊香保”では女中の典子や、その父であり宝くじ屋の六之助らが大騒ぎ。六之助は守彦が取りにくるまで宝くじをお守り袋にしまい込んだ。新聞やラジオは、“羨ましい話題、二百万円の置忘れ”と報じたが、守彦は密会がバレるのを恐れ取りに戻らなかった。一方そのころ、守彦の両親である校長のみつと理事長の賢良は、賢良の弟で今は学校の下働きをしている元ボクサー・大四郎に彼の所有する土地を学校増築のために貸して欲しいと頼んでいた。大四郎は、理事にしてくれるなら、と承知した。そこへ守彦から大四郎に、内証で宝くじを取ってきてくれという電話があった。大四郎が“伊香保”に行くと、折りしも典子が宝くじの件を新聞で知って強請にきた近藤組に脅されているところ、大四郎は典子を救ったが、そこへまた宝くじの預り主六之助が脳溢血で倒れたとの知らせ。二人が駈けつけたときは六之助は死に、問題のお守り袋は大四郎に渡った。学校へ戻った大四郎に、大阪の義弟清吉から電話があった。かつて大四郎が迷い子にして失った子供の薫が、大阪でボクサーをしているというのだ。大四郎は大阪へ行き、薫と会い、彼を一流のボクサーにしてやろうと父親の愛情を示し、専用のジムを建てる決心をした。ジムが建つ間、薫は、後楽園のジムへ通うことになったが、そこへは小梅の健というヤクザが出入りしていた。この健に、大阪からきた清吉が賭博のカタにお守り袋を持出したため、健に宝くじの秘密を知られてしまった。健は薫を脅し、お守り袋を持ってこいと告げた。これを知った大四郎は、健に向ったが、逆に脇腹を刺された。そのため、薫が大四郎に輸血をすることになったが、血液検査の結果、薫は大四郎の実子ではないと証明された。ヤケになった薫は、知り合ったルカと夜の酒場を飲み歩くうちお守り袋の宝くじを本当の持主、ルカに返してやった。宝くじ騒動は一段落した。間もなく薫の新人王松村への挑戦試合が行われることになった。薫は初め危かったがそこへ傷を押して大四郎が駈けつけ、“血はつながらなくても、俺はお前の親父だ、しっかりやれ”と声援した。薫は勝った。しかも、そこにはジム建設に宝くじの二百万円を寄付しようというルカの姿があった。