自殺を売った男

劇場公開日:

解説

週刊大衆に連載中の大下宇陀児原作の映画化で、麻薬中毒の自殺常習者をめぐる宝石横領の完全犯罪を描いたもの。脚色は高橋治、監督は「続禁男の砂」の堀内真直、撮影も「続禁男の砂」の小原治夫。出演は「花嫁の抵抗」の田村高廣・渡辺文雄・有沢正子、「ろまん化粧」の高千穂ひづる・泉京子など。

1958年製作/94分/日本
原題または英題:Suicide for Sale
配給:松竹
劇場公開日:1958年9月7日

ストーリー

気の弱い麻薬中毒者・四宮四郎は厭世的な自殺常習者である。恋人ユキは美容院に勤めている。彼女がとめるのを振り切って、何度目かの自殺行へ出た。が、塩田宝石店の社長の娘・恭子とその婚約者信吉が来合わせ、救われた。彼女の好意で、店の運転手になった。宝石店の社長秘書・村越は情婦の女店員・秋子にそそのかされ、自殺常習者の四郎を利用して宝石横領を計画した。社員の山倉の弱みを握り、彼を脅迫して、四郎を消させようとした。が、気の弱い山倉は四郎に自殺を売ってくれと頼んだのである。一年間東京にいなければ五十万円。ちょうどユキがT市の美容院の売物を欲しがっていた。彼は承諾し、ユキと共にT市に移った。村越らは四郎が死んだと信じ、第二の計画にとりかかった。山倉に金庫から宝石を盗み出させ、途中で山倉を殺した。彼に四郎の服を着せ、偽造の四郎の遺書を添え、線路に捨てた。自殺は遺書から中毒のことと、社長令嬢と特別の関係になったのが原因と推定された。社長令嬢云々の一件は、村越が恭子と信吉の仲をさき、店の養子になおろうというのである。--四郎は麻薬が切れ、東京へ出てきた。弟分のオノロケの黒田から、お前は死んだときかされ、驚いた。てっきり山倉がコロシをやったんだ。彼は友人の記者・安原を訪ね、事件のいきさつを話した。安原の同僚・坂井はそれを調べ始めた。四郎のことをきいて、村越は驚き、オノロケを買収して四郎を襲わせた。右腕の傷ですんだが、ユキも駈けつけた。この機会に麻薬もなおさせようとする。村越は四郎を静養させると称して、伊豆塩田社長の別荘へ連れだした。ユキと坂井の車がそれを追った。別荘で四郎はスキを見て黒田の拳銃を奪い、村越に迫った。そのとき、後に拳銃をかまえた秋子が現れた。彼女は彼をガスのこもる室へ閉じこめ、村越と黒田を射殺し相討ちのように見せた。これで、私は安全。宝石も全部、私のもの。が、そのとき、ユキの知らせで警官隊が到着し、彼女は捕った。四郎は救われ、そのまま、ユキの命令どおり、麻薬の治療に専心したという。

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