消えた小判屋敷
劇場公開日:1958年8月19日
解説
香住春吾の原作を、「人肌孔雀」の松村正温が脚色、「千両槍」の天野信が監督した推理時代劇。撮影は「流れ星十字打ち」の今井ひろし。「人肌孔雀」の梅若正二、「白蛇小町」の毛利郁子、ほかに美川純子・千葉敏郎などが出演している。
1958年製作/69分/日本
配給:大映
劇場公開日:1958年8月19日
ストーリー
大阪の目明し・浪花屋三次と下っ引の兵六は京見物の途中、吹田村近くで“気違い”とはやされる男と行き合った。その男は京の両替屋大黒屋源兵衛といい世にも不思議な物語をきかせた。その話とは、--彼は播磨の三日月藩に参勤交代の費用一万二千両の調達を頼まれ、藩の護衛役大村玄之進らと西へ向ったのだ。伜の清十郎はその礼に士分にとりたてられ、彼らにつき従った。途中、清十郎が寄り道し、吹田村の郷士黒田孫右衛門のもとで落ち合う約束になった。源兵衛一行は先着し、黒田や後妻お若、下男和助らに歓待を受けた。一万二千両は黒田の三つの倉に確かに入れられ、保管された。源兵衛は酔い、畳に煙草で焼きこげをつくり、庭では蛙の置き物をふみ割った。倉の鍵は枕許の花瓶の中に入れた。が、翌朝、意外にも、例の三つの倉が消失していた。先代が倉で首を吊って以来、倉はとりこわしたままだと黒田は答えた。千両箱とは何のことですか? 鍵もなかった。割れたはずの置き物は健在である。畳には焼きこげもない。源兵衛は黒田や和助やお若から狂人扱いされ、村を追いだされたのだ。むろん、玄之進らや馬子たちの姿は見当らなかった。--三次らは彼を連れて黒田の屋敷へ乗りこんだ。そこへ遅れた清十郎が駈けつけた。なにかのカラクリだ。女中のおひながなにか言いたげだった。清十郎は手がかりをつかんだ。玄之進らが高槻城下はずれで殺されていた。そして、その屋敷を建てた大工の藤兵衛の口から、おひなが屋敷のお嬢さまだということを聞いた。村の産姿・お杉から黒田家に双児が生れたことを聞いた。清十郎はその屋敷とそっくりの屋敷を探しだした。そこには倉が三つあった。先代が双生児のため同じ屋敷を二つ建てたのだ。謎は解けた。おひなの父、実の孫右衛門は閉じこめられ、元三日月藩の桑村将監が彼になりすましていた。その一味は公金横領で藩を追われ、それを恨んで、金を奪うことで三日月藩を断絶させようとしたのだ。--悪人は亡び、金は元へ戻った。清十郎とおひなは結ばれたという。