弁天横丁
劇場公開日:1953年7月1日
解説
東京タイムズ連載の中野実の小説を「愚弟賢兄」の椎名利夫が脚色し、「真珠母」の堀内真直、西川亨が監督、撮影にあたった。音楽は「雪間草」の万城目正。「愚弟賢兄」の高橋貞二、大坂志郎「真珠母」の水原真知子、「雪間草」の須賀不二男、宝塚から大船入社第一回の藤乃高子らの他、堀内監督との係わりで佐田啓二が特別出演している。
1953年製作/93分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1953年7月1日
ストーリー
弁天横丁とよばれる山手線沿いの汚い町にある兼吉の二階に、宏と麻理の新婚夫婦が住んでいる。宏はラジオの文芸部員、麻理は日本電建の契約係という共稼ぎ。彼女は先輩大岡から画家三田がアトリエを建てると訊いて訪れた。そこで彼女は三田の描いた美人画が、戦死した麻理の兄泰夫の妻鈴子であることを知った。鈴子の父勝吉はチンドン屋だったが、みなし子の三田を引きとって鈴子と兄妹同様に育てたのである。三田も妻に死なれて幼い千恵子と淋しく暮らしていた。二人の愛情を知った麻理は結婚を勧めようとするが父義秀は鈴子を次男春二の嫁にと考えていた。そこで麻理は春二と計って大岡を彼の俄か恋人に仕立てて父に断念させた。宏のラジオに出演の小唄師匠志津江が家を建てると聞いて麻理は契約に出かけたが、志津江が宏に岡惚れしているのを知って面白くない。鈴子と三田の結婚には、昔気質の勝吉が反対する。麻理と宏は志津江の事から争い、彼女は実家に帰ってしまい、義秀は立腹して娘を離婚させると言う。そこで心配した鈴子と大岡が芝居をうち、麻理の狂言自殺を仕組み、驚いてかけつけた宏の腕に抱かれる。これに味をしめた麻理は鈴子の狂言自殺を計画し、これが見事成功して勝吉も義秀も鈴子と三田の再婚に賛成することになった。