今日われ恋愛す

劇場公開日:

解説

田村泰次郎の原作を小川記正が企画脚色して、C・A・Cと民芸提携の第一回作品である。監督には「びっくりしゃっくり時代」(大映)の島耕二が当たり、カメラは「ボス」の三木滋人と渡辺公夫が協同で撮影する。出演者は「ボス」「森の石松(1949)」の轟夕起子、「不良少女(1949)」「わが生涯のかがやける日」の森雅之が主演で「破戒(1948 木下恵介)」の宇野重吉、「肉体の門(1948)」の月丘千秋、「白頭巾現わる」の野上千鶴子をはじめ、民芸の滝沢修、清水将夫をはじめ藤原釜足、石黒達也らがそれぞれ助演する。

1949年製作/123分/日本
配給:C.A.C.
劇場公開日:1949年5月31日

ストーリー

野々宮正は雑誌「大都会」の青年社長であり、その「大都会」の編集長は大学の同級生の牛田周二であった。野々宮は富を以て社長になり牛田は貧から編集長に喰い下がった。彼等は復員にありがちなせつな主義にそして、デカタンスに陥っていた。この二人がふとした処から、キャバレーの美貌歌手、サリー・浜田に同時に恋してしまった。野々宮は牛田を出し抜いて、はやくサリー・浜田に接近して行ったが、意外にも彼女の口から高度の恋愛論を聞いて野々宮はがく然として反省したのである。その上彼女は野々宮や牛田の恩師江口哲弥の奥さんだったのである。この事情を知った野々宮は、彼女に対する感情を押さえようと牛田に話をしたが、牛田は曲解して野々宮の作戦と睨んで、女秘書紺野千代に中傷した。サリー・浜田は長い間わずらって病床にいた夫のために働きに出ているのであった。野々宮は何くれとなく彼女のために尊敬をもってつくすのであるが、彼女は心苦しがって受付なかった。牛田は浜田と野々宮の間が親しくなって行く様に感じ、社長としての野々宮を邪魔に思えてきて、遂に秘書の紺野千代と莫大な会社の金を拐帯して千代の郷里に逃走した。一方明石くみ子は新聞記者であったが、紺野千代と女学校の同級生であり、千代はくみ子の家に下宿していた。くみ子はふとしたことから野々宮を見て、彼女にとって野々宮は青い鳥になっていた。千代が逃走したと聞いて野々宮は千代の郷里に向かった。くみ子もその汽車に乗っていた。その頃サリー・浜田も西下していた。いまは野々宮はサリー・浜田の感化を受けてその性格が見違える程変わっていた。大阪で牛田をつかんだ野々宮は、サリー・浜田の前でじゅんじゅんと諭したが、牛田はサリー・浜田の顔を見ると凶暴性をますます発揮した。もはや救い様もなかった。牛田の自滅と悪徳のおそろしい末路をみて、今更正しい女性観と恋愛の倫理を野々宮は学んだ。サリー・浜田は夫の病床にかけつけるため、野々宮と同じ上り急行列車の人となった。

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