曠野の誓い
劇場公開日:1952年2月21日
解説
新しく作られた第一映画プロダクションの第一回作品。製作は北澤二郎、脚本は「エノケンの底抜け大放送」の共同脚色をした古川良範、演出は文化映画「石の村」や「方面船」の演出をした京極高英。出演者の主なるものは「銀座化粧」の三島雅夫、「泣きぬれた人形」の千石規子、「どっこい生きてる」の岸旗江、「風にそよぐ葦 前編」の沼田曜一などである。
1952年製作/68分/日本
配給:東映
劇場公開日:1952年2月21日
ストーリー
下り急行列車が狩勝峠を登りつめて行く。トンネルを通って再び視界が開けると、原始林にかこまれた小屋の前で今日もアイヌの少女が汽車に向かって手を振っていた。機関士の三島と助手の小田切は顔を見合わせてにっこりした。少女は彼等の機関区の間でマスコットとされていたのだった。しかし機関区へ帰って来た二人はその日裁定されることになっていた生活補給金が要求の半額しか出ないと知ってがっかりした。三島は一人娘百合子の冬オーバーも買ってやれそうにないし、小田切はこれでは恋仲の札幌駅の駅売りをしている春子といつ結婚出来るかわからないのだった。三島の妻園子は内職を探しに行って、その留守に事故で百合子を死なせてしまった。そのため夫婦間に気まずい空気がただよい出した。春子も母と登別へ移住するという。折も折手を振るアイヌの少女が病気で重体だと知った機関区の連中は、小屋の近くで機関車をとめ、少女を札幌の病院へ入れようと提案するが、規則に反するといって許されない。三島と小田切とは無断停車を覚悟で出発したのだが、小屋に近い寒駅でタブレットの交換と共に紙片が渡された。機関区の青年たちの人間愛が局長を動かしたのだった。少女は無事札幌に運ばれ、この喜びは、三島夫婦の間や小田切と春子の間柄にも希望の光をなげたようであった。