その人の名は言えない
劇場公開日:1951年5月11日
解説
製作は「若い娘たち(1951)」と同じく藤本プロの藤本真澄。同じく「若い娘たち(1951)」の井手俊郎と「石中先生行状記(1950)」の八木隆一郎とが共同で脚本を書き「東京の門」の杉江敏男が第二回作品として監督に当たっている。出演者の主なものは、「泥にまみれて」の角梨枝子、「麗春花」の三宅邦子、「君と行くアメリカ航路」の風見章子、大映「自由学校(1951 吉村公三郎)」の山村聡、「月が出た出た」の小林桂樹、「三つの結婚」の田崎潤、「鉄の爪」の二本柳寛、「中山安兵衛」の河津清三郎などである。
1951年製作/86分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1951年5月11日
ストーリー
ダンス・ホール「スバル」で働いている美しい円能夏子の周囲には、沢山の男たちがとり巻いていた。大阪の製薬会社の社長的場、化粧品会社の社長佐伯、新聞記者の瀬木、銀座の顔役土門など最も熱心な求愛者だった。夏子はその誰もがあまり好きではなかったが、いいかげんに結婚し、ダンサー稼業から足を洗いたいとは思っていた。土門が出獄をしてから、彼女は急に決心して佐伯と婚約した。そして一緒に伊豆の旅へ出たが途中からやっぱり嫌になって引きかえして来た。婚約を破ることで夏子は佐伯に借りた二十万円を返そうとして、大阪の的場に逢いに行った。的場は顧客を温泉場へ招待しているので、その接待役をしてくれるのならという条件で二十万円を夏子に貸した。その温泉場へ、瀬川は友人からかき集めて借りた二十万円を持って来て夏子の窮地を救うつもりで乗り込んで来た。夏子はその純真な態度に感激して、瀬見と結婚する気になり、的場に借りた金を返して帰京した。しかし瀬木とも結局結婚してしまう気にはなれなかった夏子であった。夏子の姉秋子はそうした夏子のそぶりから、妹が自分の夫沢木信也を愛していることを悟って、夏子のためにやはり無理な金策をしていた土門の許へ走り自棄になった二人は一緒にかけ落ちをした。がやはり夏子から姉を元の夫の許へかえしてくれとたのまれると、愛想づかしをいって秋子を追いかえし、自殺を企てた。いまは土門を愛している秋子は夫の許を去り、瀕死の土門に輸血をしてその命を救った。沢木は京都に職を得て去った。夏子は酒場白鳥のマダム時子にたのまれてそこのマダムを引き受けたが、京都へ立って行く沢木を淋しく見送る。