母椿

劇場公開日:

解説

企画は関幸輔第一回企画作品。新人の筒井順の原案を、「愛染草」「涙の港」の館岡謙之助が脚本、「流れる星は生きている」の小石栄一がメガフォンをとる。キャメラは同じく「流れる星は生きている」の姫田真佐久。出演は「母燈台」の三益愛子、三条美紀のほか、「涙の港」「母燈台」の伊沢一郎、「あきれた娘たち」「おどろき一家」の花菱アチャコに、菅井一郎、山村聡、新人谷遥子がデヴューする。

1950年製作/78分/日本
劇場公開日:1950年1月10日

ストーリー

万才師の亀三は、コンビの鶴子がお産をする間、舞台を休んでいたが、私生児を生んだ鶴子は舞台を退くといい出した。その子というのが、実は政界で将来を期待されている八代孝の子供で、鶴子は政治家と女万才師との縁組は、八代と病気療養中の彼の妻を不幸にするものと思い込んで、住所を変え、舞台さえも退こうとしていた。鶴子の飲んだくれの父は、それをかぎつけてその子、陽子を奪って八代から得た、いくばくの金を飲み代にしてしまった。亀三の説得でやっと舞台に復帰した鶴子は、その知らせをうけて、八代の家へ陽子を取りもどしに駆けつけたため、舞台にアナをあけられて、亀三はカンカンになり、せっかく復活したコンビを遂に別れることになってしまった。八代のもとに駆けつけた鶴子は八代から「子供は愛情だけでは育てられない。環境が大切だ、私の手元においてくれ」という言葉に、一応は連れもどしたが、思い返して陽子の幸福のために八代に預けて、弟子の鶴八を新亀三と改名して旅回りの一座に、いずこともなく流れていった。--そして十八年の歳月が流れた。--八代の妻はすでに他界して、八代は立派な貫禄をもった政治家として活躍していた。折からの国会解散で全国に選挙戦が展開されていた。鶴子一座が流れていった田舎町が、偶然にも八代の出身地で、成長した陽子が、制服で立候補した父八代の選挙運動を助けて活躍していた。意外に人気があるため八代をねたむ町のボスが暗躍を始めた。八代がふと見た劇場の看板に、たずね求めていた鶴子の名が目にとまった。八代は喜びの余り鶴子を訪れたが、ボスの支配するやくざ者に写真をとられ脅迫されるが、何も知らぬ陽子は、母とは知らず父のために町を去ってくれと頼むのだった。鶴子は何事も八代と我が子のためと、陽子の頼みを静かに受け入れてくれた。その帰途陽子は新亀三から鶴子が陽子の実母であることを打明けられ、鶴子に親不孝をわびるのだった。そこへ八代の秘書が、演説会場が例の鶴子問題をタネにボスの配下のために混乱状態にあることを知らせた。急きょ駆けつけた、鶴子と陽子は聴衆の拍手の中に晴れて親子の名のりを上げることが出来たのである。何年ぶりかで相抱く、母娘の姿をみる八代の目にも涙が光っていた。

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