男の涙
劇場公開日:1949年8月29日
解説
「平次八百八町」の伊藤基彦の製作で「グッドバイ(1949)」の小国英雄と「人間模様」(和田夏十と協同)の山下與志一の協同脚本により「びっくり五人男」につぐ斎藤寅次郎が監督する。キャメラは「びっくり五人男」の友成達雄が担当。主演は「今日われ恋愛す」「流星」「びっくり五人男」の野上千鶴子とポリドールレコードの岡晴夫で、それに「平次八百八町」の黒川弥太郎「魔の口紅」の浜田百合子、「旅姿人気男」の田中春雄、「母恋星」の渡辺篤、「グッドバイ(1949)」の清川玉枝らが出演する。
1949年製作/86分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1949年8月29日
ストーリー
古田先生は親切でやさしいけれど、貧乏であった。あるとき古田先生は浮浪児の春夫をひろいあげて育てることにした。それから十二年。春夫は古田先生や、娘の秋子のいたわりで医学生として勉強していた。だが先生は経済的に苦しかった。秋子は同じ家に育った春夫をいつしか愛するようになっていた。春夫は経済的に苦しい中から学費を出してくれる古田先生に対し何んとかしなければ、と、友人の音楽学校に通う純平と相談する。純平は春夫がかねてから唄の上手なのを思い、二人で夜の歓楽街を流してアルバイトしようという。しかし春夫は古田先生や秋子にそれをいえず、内緒でやることにした。毎晩おそくなる春夫を先生も秋子もいぶかった。春夫は秋子だけには本当のことをいった。だがある夜、まちで古田先生は春夫の艶歌師姿をみて憤怒し、秋子のとめるのもきかず春夫に出ていけという。春夫はやむなく純平の家へいくのだった。そのころ春夫は仕事にいって知りあったカフェー「みどり」の夏江のことばであるレコード会社の文芸部長に紹介されテストをすることになっていた。夏江はひそかに春夫を想っていたが秋子のいることを知って姿を消す。春夫は見事テストに合格したが古田家が差押えにひんしていることを聞き、ある芸能社と契約して大金をとり古田家に送って旅まわりに出た。月日が流れ、再び古田家に現れた春夫は今までかくれて仕事をした非をわびて許しを乞う、古田先生はガンコに受入れなかったが、秋子の愛情と、春夫の誠実に、はじめて春夫を許した。春夫と秋子はしばらくぶりで晴れやかな顏を見合わせたのだった。