オオ・細君三日天下

劇場公開日:

解説

中野実の原作を「なやましき五人男」の小崎政房が脚色し、もと日活多摩川及び満映にいた大谷俊夫が戦後第一回の演出作品である。「帰国」の山崎一郎が撮影に当たる。出演者は「なやましき五人男」の花菱アチャコ、「東京カチンカ娘」の清川虹子をはじめ、「女の流行」の日守新一、他に新東宝の野上千鶴子、益田喜頓、坊屋三郎、河井坊茶のアキレタボーイズ、三木鶏郎のグループらがそれぞれ出演する。

1950年製作/88分/日本
配給:東映
劇場公開日:1950年4月2日

ストーリー

東京の閑静な住宅地の一隅にある会社の社宅が五軒隣合って建っている。吉澤さんと妻輝子さん、次が小坂さんと妻百合子さんに一人息子の敏君、三番目が秋月さんで妻糸子さんと娘の千鶴子さん、そのとなりが新婚早々の千田さんともり子さん、少し離れて宇都宮さんと妻斤子さんらがそれぞれ住んでいる。粋人である会社の社長大野さんは、とんでもない時間に社宅を訪問して驚かされる。特に千田君は妻のルリ子さんをモデルにデッサンの最中にベルを鳴らされて大慌てという、これが吉澤さんとなると会社の帰りに必ずカストリ屋に寄らないと頭がはっきりしないという。その上遅くなって帰ってくると妻君の輝子さんと大チャンバラ、その止め役はいつも決まって小坂さん、買って出て男を下げている。そのうっぷんが我が家で時々爆発する。秋月さんは秋月さんで仕事にかこつけてホールやバーで夜を明かしハンカチに紅いものをつけて帰って問題を起こし、娘の前で奥さんに油をしぼられる。このように各家庭とも悩みを加えているうえにいずこも同じインフレ時代、いつしか井戸端会議が奥様自治会になってしまった。しかし宇都宮の斤子さんだけが加わらない。出入りの魚屋や洗濯屋の情報によれば、宇都宮さんでは月給日に奥さんの斤子さん自身がとりに行くそうである。つまり家庭の全財産は奥さんの手中にあるということになっている。これを聞いて「家庭経済の自主権を妻に与えよ」のスローガンのもとに要求貫徹まで、断然妻としての労働奉仕の拒否に出た。こうなると旦那方は苦労する。遂に二三日目に要求を入れて御主人側は月給日には奥様方が会社の会計から直接に給料を貰っても良いという声明を発しストは解決した。いよいよ給料日になって盛装して奥様が出かけようとする時に、いつも元気な宇都宮さんが見知らぬ二人の男に付き添われて行った。とり乱した斤子さんがしきりにあやまっている。事情を聞けば妻君に全財産をとられた宇都宮さんは、苦しさの余り、遂に社の金に手を出してしまったというのだ。驚いた奥さんたちはいわず語らず廻れ右、留守番する旦那さんのもとへ帰って行った。

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