新愛染かつら

劇場公開日:

解説

昭和三年松竹が野村浩将監督、田中絹代、上原謙主演で製作してヒットした「愛染かつら」の続編で、原作は同じく川口松太郎で現在『婦人世界』誌連載中のものによる。企画は「母(1948)」の中代富士男。脚本は「母(1948)」「三百六十五夜(1948)」の館岡謙之助。監督は「三面鏡の恐怖」以来の久松静児担当。この映画は最初田中、上原の主演を予定したが、田中絹代は交渉成らず、水戸光子、上原謙と変更して準備に入った矢先、上原の出演料三百万円要求事件が起こって大映側はこれを拒絶、ついに告訴問題まで発展したが、結局主役は「王将(1948)」につぐ水戸光子、「すいれん夫人とバラ娘」につぐ龍崎一郎と決定して、吉川満子、岡村文子、小川弘子を他社より得て出演。

1948年製作/99分/日本
配給:大映
劇場公開日:1948年12月6日

ストーリー

津村浩三は四年ぶりに懐かしの日本に復員して来た。「若先生帰る」の報はたちまち病院中に飛び、かつて彼と愛人高松かつ枝の仲を引きさいた病院の封建的な空気の中に、今なお残っていた峰沢、若井、恩田、最賀たちの看護婦は、浩三の帰還を病院を救う唯一の光明として歓迎した。かつ枝を今だに忘れられない浩三の心情を察した峰沢、若井たちは相談の結果、彼の復員を祝して一夜慰労会を開催した。その夜看護婦姿で歌う女--それは今音楽界のホープとして有名になっている高石かつ枝であった。こうして二人の愛はよみがえったが、子を持つかつ枝の立場が、浩三一家の封建的な家風に添わず、結婚にはさまざまな障害が予想された。浩三はがん迷な父と母を説いて子供と別れたならば、という条件のもとに承諾させたが、かつ枝は(母として生きるべきかまた浩三の妻として生きるべきか)と人生の大きな分岐点に立って悩み迷った。かつ枝の姉さだ枝は、かつ枝の幸福を願って子供敏子を引きとるとまですすめてみたがかつ枝の決心はつかなかった。そしてある日さだ枝は敏子をつれて姿をかくしてしまう。こうしてかつ枝は姉の愛情に甘えて浩三と結婚した。しかし頼るは浩三ばかり父も母も、浩三の妹竹子さえも彼女に対して冷たかった。一方敏子は母は旅行に出かけていると聞かされて、さだ枝のもとで暮らしていた。かつ枝も敏子のことが気がかりのまま幾月かたったある日、敏子は発熱した。医者はチフスと診断して設備の良い津村病院への入院を極力すすめたがさだ枝は迷った。そのためにかつ枝の幸福を破ることがあってはならないからだった。しかし敏子は津村病院へ運ばれた。うわ言に母を呼ぶ敏子のまくら辺に、かつ枝は峰沢の友情で看護婦姿になって現れた。だが彼女の身動は事務長によって目撃され、父と母からきつい非難をあびた、彼女は約束を破った責任をとるべく津村家からひとり身を引いて行った。名古屋の出張から帰宅した浩三は、彼の全てをなげ捨てて伊豆の河原にかつ枝のあとを追ったのである。

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