美貌に罪ありのレビュー・感想・評価
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増村保造監督の人間描写が冴え渡る
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題名から女の裏切りや、野望を持ってのし上がって行くサスペンスを予想したら全然違っていた。
ある旧家の没落を静かに、そして辛辣に見つめたドラマでした。
国・規模・気質等は違えども、どこかルキノ・ヴィスコンティの山猫を想起せざるを得ない作品です。
山本富士子と勝新太郎の師弟から夫婦となるコンビ。若尾文子と川口浩の仲良しで喧嘩仲間コンビ。川崎敬三と野添ひとみの純朴な青年と無垢な少女のコンビ。
そして、その中心には杉村春子演じる、旧家を維持させて行く事に精一杯の母親。
未読ですが、川口松太郎による原作を脚色した田中澄江よる脚本が、おそらく旧家の没落とゆうテーマをしっかりと捉えていると思えます。それだけに、勘違いしやすい題名は如何なものか…との思いもしますが、増村保造監督の人間描写はこの作品でも冴え渡り、社会に飛び出した登場人物達にそれぞれ冷や水を浴びせては、“世間”と言うものを叩き付ける。
そんな中に在って、最後の最後に散々耐え続けて来た杉村春子が、言い放つ強力なる“毒”の数々が実に辛辣で、増村監督らしさに溢れている。
ラストの登場人物達の纏め方もとても良かったですね。
傑作だと思います。
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