愛の鐘

劇場公開日:

解説

愛の鐘運動を中心に、少年少女の非行化防止をテーマとした社会ドラマ。「男性飼育法」の八住利雄と、久松静児の脚本を、「愛妻記」の久松静児が監督し、「夜の闘魚」の高橋通夫が撮影した。

1959年製作/106分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1959年6月23日

ストーリー

巷のハイ・ティーン達の実態をさぐるために、ラジオ国際のアナウンサー大木のり子は、盛り場に実況録音に出かけた。彼らの世界は、彼女の想像を絶したものだった。のり子の心をひきつけたのは、不良少年の世界に今にも足をふみ入れようとしている少年達だった。川辺定男と添森武という二人の少年も、そういった少年達の仲間だった。定男はパチンコ屋をやる父由松に無理に一流高校に入れられ、自信を失っていた。由松は彼の教育を妻のおくみに任せきりだった。添森武は性悪の義母がいる田舎の家を飛出してきた少年だった。妹フサ子が養女になっている叔母お玉の家にやってき妹にだけ会って、後楽園球場に行った彼はグレン隊にからまれ、スリあがりの立花正一に助けられた。こういう少年達を再び家庭にもどすために「愛の鐘」運動がはじまった。この運動の指導者田上町子は毎日各方面に奔走していた。そのため淋しい娘の圭子は、母と離婚している父の山北にこっそり会って淋しさをまぎらせていた。翌朝正一の小屋を出た武は叔母にみつけられたが、彼は田舎に帰されるのを怖れて逃出し、グレン隊の喧嘩にまきこまれて検束された。一方定男は学校をサボって父に殴られ、家出して部屋を借り、不良グループに入った。武の身柄は叔母にひきわたされた。だが彼は再び町中に姿を消してしまった。田上町子やのり子達は“お母さんパトロール”をはじめて少年救済にのりだした。定男達のグループは、ヤクザの羽衣組と対立し、その喧嘩のもつれからグループの一人貞二を救って、武も一味の一人に加えられた。ヤクザと争うために拳銃入手を計った定男達は、武を見張役にして交番襲撃を計画した。怖しくなった武は、正一の小屋に逃れた。正一のしらせでかけつけた叔母お玉は、武を妹と共に自分の家にひきとるといった。その頃、不良少女と共にいたというだけの理由で、圭子の友達が学校から退学処分をうけた。頼みにした母はかまってくれず、父の山北が女と戯れているのを見た圭子は夜の町にさまよい出た。そして計画失敗でヤケになっている定男達のグループに見つけられ、その毒牙にかかった。わが娘の悲劇を前にして、町子は自分の日頃の行為を反省した。定男達は少年刑務所に送られ、由松夫婦も子供の気持を考えてやらなかったことを悔いた。今日も、美しい夜空に、街から街へと愛の鐘が響き渡る。

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