「コンプライアンスとハラスメント過敏時代の今では決して作られることのない貴重な映画。」炎上 ちゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
コンプライアンスとハラスメント過敏時代の今では決して作られることのない貴重な映画。
人間の持つ不浄な業というものを美の象徴である金閣と対比して画かれているようである。
主人公溝口の不浄の対象は男女の性的なものであり、不浄なものから生を受けた自身を汚れたものであると考え、母を恨み、父を哀れみ、障害のある友人に安心し、なにより自身を蔑むことでしか自分の存在意義を得られない。
そんな彼は、美の最高点にある金閣を無に帰すということでしか自分を表現できなかった。
個人的には、他人に優しくできず、果ては自死して果てるという、何とも身勝手な輩であるなと思ったのだが、それが人間の本性なのかもしれない。
市川雷蔵の演技は凄かったですね、あの狼狽えた表情、良かったです。
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