"噴水"より 抵抗する年令

劇場公開日:

解説

毎日新聞夕刊連載、永井龍男原作『噴水』を、「非常線(1958)」(東映)の沢村勉が脚色したものである。久しぶりに田畠恒男が監督を、「どろんこ天国」の布戸章が撮影を、それぞれ担当した。主演は「若い広場」の山本豊三・三上真一郎・片桐真二、「夜の波紋」の菅佐原英一・福田公子、「花のうず潮」の田村高廣・小山明子など。ほかに岸輝子・佐野周二に、瞳麗子・片山明彦・松本克平・沢村貞子などのヴェテランが助演する。

1958年製作/91分/日本
劇場公開日:1958年7月6日

ストーリー

--湘南のある都市で怪事件が起った。嵐の夜、そこの高校のスピーカーが妙な文句を叫んだのだ。プレスリーさん、兵隊です、兵隊です、入営です、と言ってみたり、挙句は筆子さんは天使です、天使です、エンゼルですと叫んだ。犯人は、市の老舗の菓子商「やまざき」の一人息子・高校生の実だった。彼の父は仕事が忙しく彼を構わぬ。彼は実母を最近なくした。若い後妻の千代が時々憎らしかった。筆子というのは、同級の行雄や厚三らと崇拝している年上の女性のことである。彼女は叔父の峯上が支配人をしている横浜の新世紀ホテルに勤めている。筆子の兄信吉の大学の後輩村瀬はそのホテルのコックになった。実君は彼と筆子が親しくなったのが淋しかった。皆でハイキングに行っても、その思いが益々つのるばかりだ。千代は以前の恋人・新聞記者の安達にまた近ごろつきまとわれだした。彼は恋人・登志子に結婚資金を十万円つくれと迫られている。--実達は酒を飲んだ勢いで、海でモーターボートを無茶に走らせ、衝突転覆させてしまった。親達のわからずや、メソメソがやりきれなかった。今度は実君は不良の大島にそそのかされて親の金を無断で持ち出しスポーツカーを買ってしまう。父の清造が熱海へ町内のものと行っている留守に。同じく千代は安達に踊りに誘われ、例の十万円の借用を頼まれた。彼女が断わると、彼は峯上のホテルが内紛を起しているのをタネに、彼から強請ろうとする。峯上は彼にただで金をくれてやる。実君の無断持ち出しを、祖母のシゲは千代の方へあたった。千代は彼をかばった。私があげたと言って。が、千代が安達に呼び出され、昔の手紙をタネに金をゆすられているのを、例の車で帰ってきた実が見、父をその場へ連れてきてしまう。清造は誤解し怒鳴る。実君は安達とケンカし、大島の渡したナイフで傷つけてしまう。一度は警察へ連行されたが、安達の願いで彼は親に引きとられた。厚三のいさめや、清造の彼を一人前の大人としての相談に、彼は千代を母として遇しようと思い始める。--峯上は名古屋のホテルに行くことにした。村瀬もそれについて行くことになった。筆子も兄の信吉が結婚するのを機に、村瀬と一緒に行くことにする。--彼らはお別れに皆で八幡宮の噴水のところまでピクニックに行った。いつかつまったままだった噴水は見事な水しぶきを挙げていた。あの噴水にシャボン玉を飛ばしたらと実君は思った。その幻想に筆子の顔が重なるようだった。

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