群衆の中の殺人
劇場公開日:1958年6月29日
解説
中川順夫の脚本・監督、岡田三八雄の撮影による、日米映画がNTV、警視庁との協力製作の犯罪捜査シリーズ第五篇。主演は坪井研二・江見渉・山本千鶴子・島崎和子。
1958年製作/48分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1958年6月29日
ストーリー
◇前篇--競馬場で労働者風の若い男が射殺された。解剖の結果、被害者が麻薬の常習者であることが分った斎藤刑事は、ドライブ・クラブに勤めている被害者の妹規子に遺留品を届けに出掛けた。そして、兄にもクラブから給料が出ていたことを聞くと、クラブの出資者であるキャバレー「横浜」のマスター鍋島に会った。が、何も聞き出すことはできない。二人が話し合っている時、吉井という若い男が、ボーイ見習として入って来た--。新車にピクニック・ケースを乗せてドライブに出かけた新会員の外国人ハンクが、車を返しに来て帰る時、ケースを持っていなかったことに規子は気づいた。そして、支配人の江川がすぐその車に乗って出ていったことに不審を抱いた。「横浜」に乗りつけた江川は、ハンクが持っていたケースを取り出すと、鍋島の事務所に消えた。ホールに姿を見せた彼は、吉井に眼をとめると昔話に花を咲かせた。二人は中学時代の同級生だった。規子からハンクのケースのことを耳にした吉井は、マスターの部屋に忍びケースを探し廻った。暗がりから突き出された拳銃が彼の後姿に狙いを定めているのも気づかずに--。◇後篇-吉井がノックの音にふり返った時には、拳銃は消えていた。斎藤刑事から吉井は麻薬密売の前科者だから近づけないと云われた鍋島は、刑事が帰ると吉井を呼んだ。十万円の札束を握らせ、江川に変って大事な仕事をして貰いたいという。その日から、吉井は事務室勤務に変った。吉井は規子に本身を明かした。彼は木南刑事といった。規子に、ハンクが姿を見せたら連絡するよう依頼した。数日後、ハンクがドライブに出かけたあとを、一台の車が追跡していた。木南刑事から連絡を受けた斎藤刑事だ。波止場にやって来たハンクは、ケースを持って降りると同様のケースを側において釣をしている外国人に近づき、ケースをすりかえて帰った。これが麻薬密売のケースと睨んだ斎藤は、ハンクを逮捕した。不穏な空気を察知した江川は、金を持ち出し鍋島の情婦彩子を連れて逃走した。と、いつのまに乗りこんでいたのか、鍋島が拳銃をつき出した。が、倒れたのは江川をかばった彩子だった。鍋島の息の根を止めた江川は、追跡して来た吉井にこう云って両手を差出した。「木南、お前がいなかったら俺ア逃げていたぜ」