場末のペット吹き
劇場公開日:1958年5月13日
解説
山口純一郎のTVドラマ「哀愁は旅とともに」を、原作者が自ら脚色、「燃える肉体」の小杉勇が監督、「十代の恋よさようなら」の柿田勇が撮影した歌謡ドラマ。主演は「羽田発7時50分」の二谷英明、「盗まれた欲情」の香月美奈子。それに南寿美子、フランク・永井らが出演。
1958年製作/53分/日本
原題または英題:Boy with a Horn
配給:日活
劇場公開日:1958年5月13日
ストーリー
場末の繁華街にある安っぽい劇場。その楽屋を訪れたのは刑務所帰りの武村だった。--八年前、彼はこの劇場のトラム・ペット吹きだった。踊子のひろみは武村を慕っていた。が、彼は賭博にツかれていた。ある日、ヤクザの安は負け続けている武村に賭金を用立てると、返金できぬ場合はひろみの体をもらうという借用証をでっちあげた。そして、連れ込み宿でひろみの純潔を奪った。駈けこんだ武村はいつか安を刺していた。宿をとび出したひろみは、自殺してしまった。こうして安を殺した武村は、今やっと古巣に舞い戻ったのだ。劇場の八年は長く、彼を知るものは、楽屋番の源爺さんと幹部級の踊子圭子の二人だけだった。そして、ひろみの妹薫が若手スターとして人気を呼んでいた。中井という歌手が彼女の恋人だった。圭子の計らいで武村は再び舞台を踏んだ。圭子は人知れず武村を愛していたのだ。ある晩、薫と武村が話しこんでいるのを見た中井は、誤解し、嫉妬に狂った。さらに、昔の武村のように賭博に通うようになった。中井は地廻りのヤクザ田島の乾分近藤に三十万の借金ができてしまった。これを見た仇役者の矢野は中井の耳もとでささやいた。“薫ちゃんを一晩だけ親方にとりもてばいいんだよ--”中井は矢野を殴り倒した。その場は武村が現われて治まったものの、数日して田島一家が仕返しにやってきた。武村は、圭子のとめるのも聞かず単身殴り込みの渦中に乗りこんだ。格闘の末、近藤はあやまってナイフの上に倒れた。武村は、圭子、それに薫と中井に見送られながら、再び警察に向った。