草笛の丘
劇場公開日:1958年2月11日
解説
「おトラさん」の共同脚色者の一人新井一のオリジナル・シナリオを、新人内村禄哉が監督、「強情親爺とピンボケ息子」の西前弘が撮影した歌謡映画。出演は「ふるさとの唄 お母さんの東京見物」の三橋美智也を中心に、環三千代、藤木悠、柳家金語楼、万代峰子、水の也清美などである。
1958年製作/54分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1958年2月11日
ストーリー
××大学の校庭では、ラグビーの猛トレーニングが行われていた。耕次と俊夫はグランドコートの腕を組んで僚友の練習ぶりを眺めていた。二人は万年補欠なのだ。合宿が終って、耕次と俊夫は、下宿八百熊の二階へ帰って来た。一人娘のみどりがいそいそと耕次を迎えた。耕次の部屋はみどりの手で綺麗に片附けられているのに反し、隣合せの俊夫の部屋はそのままで雑然としており、俊夫をクサらせた。みどりは耕次に好意を寄せているのだ。なんとかしてレギュラーになろうと、休暇中ランニングをすることにした二人は毎朝行き会う達夫少年と知り合いになった。母子二人暮しの貧しい家庭の達夫は新聞配達をして家計を助けているのである。一生懸命に駈けて行く達夫の傍を自転車に乗った仲間の少年が追い越して行く。何とかして達夫に自転車を買ってやりたいと二人は考えた。歌謡コンクールがこの町で行われることになった。優勝者には自転車が贈られるとのことである。耕次も出場することにした。当日、皆がヤキモキしているのに耕次は姿を見せない。彼は会場近くの踏切で、幼児が驀走して来る電車の前へヨチヨチと歩き出すのを見て、飛びこんで幼児を救ったため、遅れたのだ。会場へ着いた時コンクールは終っていた。が、彼が子供を救けたことが投書で分り、謝礼には彼の希望で自転車が贈られた。自転車は、早速達夫のもとに届けられ彼を喜ばせた。みどりに良い縁談があるのを知った耕次は、彼女の幸福を願って、俊夫に送られて故郷へ向った。車窓からは達夫を先頭とした銀輪部隊が、汽車を追いかけて来るのが見えた。