狂った関係

劇場公開日:

解説

小泉譲の原作『八月の砂』から「肉体の反抗」の陶山鉄と「女豹とならず者」の共同脚色者の一人、佐治乾が共同脚色し、「肉体の反抗」の野口博志が監督、同じく松橋梅夫が撮影した、日活肉体シリーズ第二弾・日活スコープ。主演は「肉体の反抗」の筑波久子、「愛ちゃんはお嫁に」の三島耕、「私は前科者である」の安井昌二、「反逆者」の宍戸錠。ほかに、利根はる恵、牧真介、稲垣美穂子、近藤宏など。

1957年製作/90分/日本
配給:日活
劇場公開日:1957年8月6日

ストーリー

笙子は、この夏休みを大学の友人たちと彼女の家竜ケ崎ホテルで過ごしていた。彼女は、卑屈で気弱な許婚者の植村が好きになれず、その反撥も手伝って、この漁村の青年雨宮と交際を始めた。雨宮は海上漁群発見係というヘリコプターの操縦士だが、女泣かせで仲間の評判であった。しかし、彼が誘惑しても笙子だけは、それに乗ってこない。ある日、笙子は学校で研究している鉱脈の実地勉強に、兄浩一の紹介で学友と炭鉱の技師村岡諄吉を訪ねた。彼女は一目で諄吉に強く心を魅かれるのを感じた。その後、彼女の家のホテルで彼女は諄吉と再会した。その時、彼は飲めぬ酒を飲んで悪酔いしており、そんな彼を彼女は甲斐々々しく介抱した。そのうち、いつしか二人は唇を寄せあっていた。この二人の仲を気附いた雨宮は、このことを彼女の兄浩一に陰口したので、笙子は浩一から諄吉との交際を禁じられてしまった。それというのも、雨宮が公用のへリコプターを密輸に悪用し、それから得た金をホテルで景気よく散財していく所から、人間の価値を金で計る浩一は、安月給取りの諄吉を軽べつしていたのだ。笙子は物思いにふけって夜の浜辺を彷徨し、いつか無人燈台まで来ていた。そこには、異様に眼を輝かした雨宮が待ち伏せしていた。逃げまどう笙子に、雨宮は、ジャックナイフで追い迫った。笙子は失心した。その身を横たえた彼女の顔の傍らに、ジャックナイフが無気味に光っていた。拭っても消されぬ、肉体の刻印を押された笙子は、裸身のまま浜辺の、海に突出した岩に佇むと、身をもだえて慟哭した。翌日、諄吉の部屋を訪れた笙子は崩れるように彼の身体にすがりつき、狂ったように続けさま接吻を首、腕、胸と浴びせながら、遅かったわ、遅かったのよ、と泣きむせんだ。事情を知らぬ諄吉は、そんな彼女の態度を訝りながらも、激しい情熱がつき上げてくるのであった。その明る日、雨宮にそそのかされた植村の口から笙子の秘密を知った諄吉は、無惨にも傷つけられた心を抱いて旅立って行った。別れても、諄吉に対する純粋な愛情を失うまいと誓った笙子は卑劣な雨宮を殺すことによって、救われると思った。その計画を秘めて、例の海中に突出した岩で雨宮に合う約束した笙子は、その日、待ちあぐむ彼の頭上に、大学で習い覚えた馴れぬ手つきで雨宮のヘリコプターの操縦桿を握りしめ近づいた。殺気走った笙子の姿を機上に見つけた雨宮の顔は恐怖にゆがみ逃げ場を失い海中に飛込んだものの、踏みにじろうと執拗に近づいてくるヘリコプターに追われ、もがき苦しみながら、沖へ沖へと泳いで行くうちに、やがて波間にその姿を消した。

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