怪談色ざんげ 狂恋女師匠
劇場公開日:1957年7月30日
解説
柳川真一のオリジナル・シナリオを「男の牙」のコンビ、倉橋良介が監督、服部幹夫が撮影した怪談映画。主演は「赤城の血煙 国定忠治」の北上弥太郎、瑳峨三智子、「男の牙」の名和宏。ほかに雪代敬子、水原真知子、日守新一、紫千代、柳家金語楼、花菱アチャコなど。
1957年製作/101分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1957年7月30日
ストーリー
江戸は笠森稲荷の近くに住む踊りの師匠おせんは、名代の美人で、今年廿九歳の女盛りだが浮いた噂一つなく男嫌いで通っていた。そのおせんの肌に、火をつけた男、宗次郎は飛んでもない悪党。持って生れた美男振りに物いわせ女から女へ渡り歩きながら盗みをするという奴。ある夜居酒屋で旅人風の若い男の懐中物に目をつけてこれを奪い、その男を大川に蹴落とした所を目明しに見とがめられて、おせんの家に逃げ込んだのだ。この宗次郎に、ぐれて家を飛出したままの弟直吉の面影を見出したおせんは、弟をいたわるように宗次郎を諭し、下男代りに家においたのが、かえって仇となった。ある日、強引に宗次郎に犯されたおせんは、初めて知った女の喜びに身も心も掻き乱されてしまった。そんな彼女に、嫉妬したやもめ暮しの豪商和兵衛はうっかりその胸のうちを、仁蔵という悪党に洩らしてしまった。仁蔵は、和兵衛から褒美の金にありつこうとおせんの家に忍び込み、煮えたぎった行水の湯を彼女に浴びせて逃去った。おせんの顔半分は見るも無惨に焼けただれてしまった。そうした彼女に、宗次郎は嫌気がさし、おせんの愛弟子で和兵衛の娘お吉に好色の手を伸ばした。おせんは嫉妬に狂った。そんなある日、お牧という娘がおせんを尋ね、弟の直吉が自分の処で傷の養生していると告げた。これを聞いた宗次郎は、先日大川に突落とした男がこの直吉と知り、居たたまらなくなって家を飛出した。おせんは、それから間もなく宗次郎を追って家を出たが沼地に落ちて死んだ。その日以来、宗次郎はおせんの亡霊に悩まされ続けた。一方漁夫弥兵衛の家でお牧の世話を受けていた直吉は、胸さわぎに姉おせんの死を直感した。一方あれ以来和兵衛を強請り続けて来た仁蔵や宗次郎におせんの亡霊が乗移り、幽鬼に翻弄された二人は相討ちして果てた。数日後、和兵衛の志で直吉とお牧は笠森境内におせん茶屋を店開きした。